海は見えるか (幻冬舎文庫)
海は見えるか (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー
KAZOO
真山さんの東日本大震災三部作の2作目です。読んだのは第1作の「そして、星の輝く夜がくる」の方を先に読んでいますが登録が後先になってしまいました。本当は主人公の小学校教師は1年で関西に戻る予定であったのが、あと1年いることになって新6年生を教えるkとになります。7作の短篇の連作になっていますが、今回の6年生の反応が前の年の生徒よりも鈍い感じですが徐々になじんでいく様子が見られます。また家族がなくなった生徒をしばらく引き取りますがその生活の様子も示されます。
2024/06/05
納間田 圭
震災後の東北の海沿いの町が舞台。かつて阪神淡路大震災で妻子を失った神戸から派遣された応援教師。家族を失ったり生活を破壊された子供達の心中の複雑さ。昼間は元気一杯たげど…夜なべ枕を濡らす泣き声。連日の遺体引き揚げ作業で崩壊していく自衛官の心。子供の将来を考え生まれ育った場所を去っていく両親。攻まり来る大津波の黒色が目の裏に貼り付く。残念ながらまたいつかは分からないけど必ず来る。その時のために高層防波堤設置を急ぐ行政…それに対する遺族の本音。今、東北の小学生達が海の絵を描いたら…青色なのだろうか?
2018/05/08
papako
『そして、星の輝く夜がくる』続編。震災からまだ2年という東北の小学校に派遣された阪神淡路の被災教師、小野寺。彼の正直な考えには、共感できる部分とできない部分がある。だから胸にせまってくる。きっと、今でもサバイバーズギルドやPTSDに悩む人たちは大勢いるんでしょうね。小説で読んでも決して当事者にはなれない。それでも、現地の人たちの『普通』を望まずにはいられない。
2018/09/19
さきん
続編あるのかと思ってちょっとびっくりしたが、こういう出来事に終わりはないという意味で納得。あらゆる出来事も飲み込んで歩み続けないと思いつつ、過去を振り返させられる悪夢、PTSDとも向き合っていかないといけない。慣れない環境で自死した人も多い。災害関連死という見方が定着したのもこの震災がはじめてかも。
2021/12/02
Walhalla
『そして、星の輝く夜がくる』の続編です。三部作の二作目ですね。神戸の被災で妻と娘を亡くした小学校教師が、東北に応援として派遣され2年目を迎えます。著者の真山仁さんは、ある雑誌のインタビューで、"被災地が求めている答えと、経験者が考えていることは、必ずしも一致しない。大事なのは立ち止まらないこと。考え続け、行動し続けることでしか答えは出せない。”とおっしゃっています。家屋やライフラインの復興以外にも多くの課題があり、そのような状況を現場の目線でしっかり描かれた作品ですね。三作目も読みたいと思います。
2024/04/19
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