悪党町奴夢散際 (幻冬舎時代小説文庫)
悪党町奴夢散際 (幻冬舎時代小説文庫) / 感想・レビュー
あじ
闇に葬られた播随院長兵衛を巡り、町奴と旗本奴の対立に緊張が走る。お馴染みの登場人物が争乱を担ぎ、男伊達、百花繚乱─と言いたい所だが、主役不在の煽りが思いの外大きかった。お吟(準主役)、お菊、お萬の方、女形の美代次(例外かもしれないが)…脇役扱いでありながら、女性の存在感に助けられた場面が多い。人物の躍動、文章の抑揚を彼女たちの本領で補って欲しかった。【文庫オリジナル小説】★3/5◆脳内キャスティングは1974年放送のテレビドラマ。
2019/01/19
サケ太
「俺は今、楽しいんだ」歴史に確かに名を刻み、去っていった男達。江戸で争う旗本奴と町奴。男伊達なんていう形の無いものの為に刹那を生きる男と女。投げられた石で拡がった波紋。これからの人生がある。大切なものがある。それでも通さねば成らぬ意地がある。実在した人物と非実在の人物、怪談まで組み合わせた作品。非常に面白かった。
2018/12/09
ひで
乾緑郎は今年になって読み始め、「機巧のイヴ」2冊と「思い出は満たされないまま」を読んだが、今作のジャンルギャップについていけなかった(^^; ところで今作の主人公は水野十郎なのだろうか?しかし題名は「町奴」だし。群像劇と思えばいいのかな。
2018/12/24
かすり
電書版。町奴と旗本奴は今で言うヤクザ…というよりチンピラか。陰謀あり仇討ちあり男装の剣豪あり皿を数える幽霊ありと魅力的なキャラが切った張ったをするのは爽快…だけれどもそれだけで終わらないのが乾緑郎。十郎の母が旗本奴と町奴の区別がつかないというエピソードはさらっと書いているが残酷な話だしそこかしこに個人的な資質ではなく身分で何もかも決まってしまう世界が描かれている。正に、夢散際。
2020/09/18
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