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貘の耳たぶ (幻冬舎文庫)

貘の耳たぶ (幻冬舎文庫)

貘の耳たぶ (幻冬舎文庫)

作家
芦沢央
出版社
幻冬舎
発売日
2020-02-06
ISBN
9784344429390
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貘の耳たぶ (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー

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イアン

★★★★★★★★☆☆タイトルが切ない芦沢央の長編。産後の不安から衝動的に自らの子を取り替えてしまった繭子と、その事実に気付かず育児を続ける郁絵。4年後、あるきっかけで入れ替わりの事実が判明する。第一章ではいつ発覚するかと怯えながら過ごす繭子の、第二章では取り違えの事実に当惑し重大な選択に悩む郁絵の心理を繊細な筆致で描いた良作。期待したようなミステリ要素はなかったが、ここまで心揺さぶられる作品は稀だ。繭子の行為は許されるべきものではないが、それでも置き去りにせず掬い上げるような結末を心のどこかで望んでいた。

2024/09/19

長編ですがあっという間に読み終わりました。同じ日に子供を出産した繭子と郁絵。繭子が故意に郁絵の子供と自分の子供のネームタグを付け替え、取違えたまま数年経過し取違えが発覚する。最初は繭子が主演、途中から郁絵に変わり最後まで郁絵目線。私的には繭子がどれだけあの結末に至るまでに苦しんだかが知りたかったです。可哀想すぎるのは2人の子供。こうちゃんとりくは大きくなって事実を理解したらどうなるのだろう。

2021/01/01

ゴンゾウ@新潮部

芦沢さんの作品なので期待していたのだが、残念でした。何故繭子は自分の子供を入れ替えたのか。最後まで釈然としなかった。結末も何かあるのかと期待していたが。

2021/12/03

ふじさん

読み始めから、読み終わるまで心のざわつきが収まらなかった。自ら産んだ子を取り替えた繭子。この事実を告白出来ずに苦しむ繭子、遂に取り替えの真実が明らかになる時が来る。元に戻すかそのままか悩む郁絵、沈黙を守る繭子、そして一心に母を慕う幼子たち。切なすぎる事件の慟哭の結末は悲しく切ない。繭子のその後の人生は、幼子のその後は。考えると心が暗くなる。

2021/07/23

NADIA

帝王切開で長男を出産した繭子は精神的に非常に不安定であったため、我が子と、隣に寝かされていた郁絵の生んだ男の子を取り替えてしまう。そのことがいつ発覚するかに怯えながら、それでも航太と名付けた郁絵の産んだ子を慈しみ大事に育てる。後半は何も知らずに繭子の産んだ璃空に愛情を注ぐ郁絵の物語。そして4年後にその取り違えが発覚。「血」を優先するのか、「積み上げた愛情」を優先するのか。郁絵の目線を通してどちらも選びきれない難しさに頭を悩ませた。正解というものなどない。とても深い映画を観たような充実の読後感。

2020/09/18

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