身代わり忠臣蔵 (幻冬舎時代小説文庫)
身代わり忠臣蔵 (幻冬舎時代小説文庫) / 感想・レビュー
しんごろ
土橋章宏が書く歴史小説は、優しさに溢れてる。忠臣蔵がテーマ。もし吉良上野介が、浅野内匠頭に襲われ、負った傷が重傷で死んでたらどうなってたかという話。、忠臣蔵がわからない人でも面白く読めると思う。吉良上野介の弟の孝証、大石内蔵助の奮闘ぶりと滑稽さが読んでて楽しくなる。優しさいっぱいの本作の忠臣蔵。これは、“土橋忠臣蔵”と呼んでもいい。史実に基づきつつオリジナル色をだした忠臣蔵だと思う。史実もこうあってほしい。いつも思うのだが歴史作家は、歴史のちょっとした謎の部分をしっかり埋め込むのがうまい。
2024/08/29
タイ子
こんな忠臣蔵もありかも。登場人物がクセありすぎ。ご存じ吉良上野介は切られて当然の(死んで当然の人間なんてこの世にいないなんて綺麗ごとはこの際なしね)嫌味ジジイ。切った浅野内匠頭がこれまたぶっとんでる。女癖の悪さ、吝嗇家に藩主としてどうなの?そこにきてこの騒動。片や、斬られた上野介は急死。そこで替え玉となるのが彼の弟。僧なのに修行もせずに金も無く放浪の身でウロウロの人生。降って湧いた替え玉作戦。面白くなるのが、いやずっと面白いけど大石内蔵助の仇討作戦。良く出来てます。刃傷ならず人情ものの忠臣蔵にジワリ。
2024/02/12
mike
松の廊下事件に端を発する赤穂浪士討ち入りをほろりとする人情喜劇に仕立てている。襲撃された後、吉良は急死。そこで家臣は弟を替え玉にする。一方、内蔵助は何とかして討ち入りを回避しようと頭を抱える日々。ある日、互いの素性も知らぬまま、偽吉良と内蔵助はひょんな場所で出会い意気投合する…というストーリー。歴史にとんと疎い私でも面白く読めた。白藏さんの「討ち入りたくない内蔵助」の好きだがこれもなかなか。ムロさん主演の映画も楽しそうだから見てみたいな。
2024/10/15
小説を最初に書いた人にありがとう
この作家さん、以前読んだ「超高速参勤交代」が最高に楽しめた為、今作も購入。有名な忠臣蔵の新説?なのか創作アナザーストーリー、よく出来てて楽しめた。浅野内匠頭が吉良上野介を殿中で切りつけた御法度により切腹。赤穂藩も取り潰しになりそうなことで吉良への復讐を計画。ここから新説展開、実は吉良は切られた事で死亡。亡き吉良の弟の高証を吉良の身代わりにして体裁を整える。赤穂の大石内蔵助も討ち入りはしたくない。高証と大石の討ち入り大芝居は切なくも感動の結末。映画化もされるみたいなので見に行こう。
2024/01/08
みこ
松の廊下の刃傷で吉良は死んでいて、その影武者を出家した弟が務める。一方、大石は討ち入りに後ろ向きであった。何やら色物小説の様相を呈しているが、マイナス同士を掛けるとプラスに転ずるように、実に面白かった。忠臣蔵という従来なら死に収束する話がいかに生き抜くか、周りをいかに死なせないかと生を開放する話に転じてしまったのは見事である。討ち入りが迫る中、吉良の弟が自らが育てた朝顔が来年の夏に見事な花を咲かせるであろうと思いを寄せるシーンは涙ぐんでしまった。こんな色物忠臣蔵なのに。
2020/12/23
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