麦本三歩の好きなもの 第一集 (幻冬舎文庫)
麦本三歩の好きなもの 第一集 (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー
mae.dat
これは麦本三歩の説明書なのかな。「麦本三歩は◯◯である」みたいな書き出しの「麦本三歩は◯◯が好き」と題された短篇が12篇。「三歩は」「三歩が」「三歩に」……と、くど目に書かれていて、はじめはその文体に面食らいました。でも“説明書”なんだと気付いてからは、テンポも掴んで気にならなくなりましたよ。ストーリーはこれと言った事件もメリハリも無く淡々とした日常が過ぎ行くだけなの。妙な拘りや雰囲気がジワりと癖になりますね。麦本三歩には、住野さんの理想像の幾許かが投影されている様ですね。新店ラーメン屋に行く件とか好き。
2023/10/10
bunmei
これまでの住野作品とは全く違う作風で、自由気ままな筆致で描かれている。図書館司書として働く女子の、ごく普通の日常を切り取った短編集。但し、この女子・麦本三歩は、個性豊かで、場を読めないちょっと風変りな女子。ぼーっとしていて、食いしん坊、おっちょこちょいに、間抜け…。正直、こんな女子が職場に居たら、こちらがイライラして好きになれないだろう。しかし、三歩の周りの人々は、そんな三歩を疎ましく思いながらも、温かく見守ってくれている。それは、ある意味、真っ直ぐで素直な三歩の存在が、眩しいからなのかもしれない。
2021/04/10
ベイマックス
シリーズ化するのだね。小説は(映画もかな)殺人とか事件が起きたりの推理小説、恋人が余命宣告を受けたりの恋愛小説など、非日常がないとダメだと思っていた。私小説もあるけど…。住野よるさんは、麦本三歩の日常を描き切っている。でも、正直、三歩が職場にいたら「イラっと」しちゃう、器の小さい自分がいます(笑)。第二集も楽しみです。
2021/02/06
芳樹
図書館で働く20代女子の麦本三歩。人見知りで、ぬけたところがあり、でも憎めないキャラクター。そんな彼女の日常がコミカルな地の文で綴られる短編集。どうせ毎日をすごすなら、嫌いなものではなく好きなもののことを考えていたい。そういう風に生きられればとても気が楽だし素敵ですね。三歩の大恋愛が描かれるわけでも、仕事への熱い情熱が語られるわけでもない。ちょっと(?)ズレているけど、どこかにいそうな一人の女子が自由に生きる姿を描いた心温まる小品集でした。第二巻も楽しみです。
2021/02/10
SJW
大学図書館司書の麦本三歩は、職場でドジで間抜けな所が三歩らしいと、怒られたり突っ込まれたりされる。そんな三歩は三歩らしいと弄られて、可愛がられる姿が笑える連作短編。何でもない日常を幸せと感じる前向きな三歩にちょっと癒されながら読了。
2021/08/08
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