その日、朱音は空を飛んだ (幻冬舎文庫)
その日、朱音は空を飛んだ (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー
ゆみねこ
学校の屋上から飛び降りて亡くなった川崎朱音。彼女の死を巡って6人の同級生が語る。重苦しいのにクラスメイトたちが人の死を軽く考えている様子に違和感も。夏川莉苑は恐ろしい…。学園イヤミス。
2021/05/05
夜桜キハ @呪術廻戦完結おめでとうございます!
武田綾乃先生好きな友達からユーフォニアムの次はこれと布教された作品。いや温度差ありすぎだろ!とはいえドロドロした作風が好きなので1日で読み進めてしまいました。冒頭は朱音の飛び降り自殺のシーンから。朱音が飛び降りた理由は何なのか。いじめなのか。クラスメートから親友まで、様々な語り手の視点で朱音の「死」について書かれており、最後には朱音独自の自白。関係ないのに首を突っ込む者、無視する者、朱音を嫌っていた者、朱音と親しかった者。朱音の自白は共感することが多かったがやっぱり恐怖が勝りました。ここ一番好きな作品です
2024/09/15
シオウ
初めは白。そこに黒い点がポツン。黒が混ざると決して白には戻らない。次第に黒が濃くなり、重みを増して澱んで、時折鋭く尖る。自分に素直で無邪気で…本質は変わらないはずなのに、それはどんどん形を変える。過剰に他者を意識しているかと思えば、驚くほど無関心な面もある。誰にも共感できないけど、彼らの感情の一部は分かってしまう。かつて経験した、ひょっとしたら、今も心のどこかにある感情だから。あぁ醜い。見たくない。誰も悪くないのに気持ちの悪さはしっかり胸に残る。そして、最凶なのは、黒を知らない完璧な白。
2021/05/22
ア・トイロッテ(マリポーサとも言う)(各短編の評価はコメントで)
★★★☆7 この作品はたしかに朱音がなぜ空を飛んだのかという謎がメインテーマとなっているミステリではある。だが、『響け!ユーフォニアム』などの青春小説を多く書いている著者なだけあって、作中で次々と語られる朱音と、まわりの高校生たちによる群像劇はとてつもなく上手い。何が上手いのかといえば、圧倒的な心理描写であり、高校生にありそうな様々な造形を見事に書き分けている。作中の投身自殺を一言でいうと、不安定な年頃ゆえに起こった悲劇だといえる。このまま悲劇的な物語として幕を終えたかと思えば、あのラストで戦慄。ホラー。
2023/10/14
よっち
学校の屋上から飛び降りた川崎朱音。自殺現場の動画がネットに流れ、明らかになってゆく自殺の原因。クラスメイトに配られたアンケートから見え隠れする歪められた青春ミステリ。動画撮影者、地味なクラスメイト、対立者、学年一位、恋人、幼馴染、そして本人の視点から浮き彫りになってゆく自殺に至るまでの構図。視点が変わるたびに見えてくるものも変わって、愚直なまでの想いがすれ違いからどんどん歪んでいって、それがどうにもならないところまで行き着いた先にあった真相と、最後に提示されたもうひとつの目次や結末はなかなか衝撃的でした。
2021/04/08
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