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どうしても生きてる (幻冬舎文庫)

どうしても生きてる (幻冬舎文庫)

どうしても生きてる (幻冬舎文庫)

作家
朝井リョウ
出版社
幻冬舎
発売日
2021-12-09
ISBN
9784344431416
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どうしても生きてる (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー

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みこ

肛門に蓋をすることが苦手な作者が現代人の心には一切の蓋もせずに闇を暴き出す6編の短編小説。もうこんなふざけた書き出しをするしかないくらいに読後感は深くどんよりしている。作中人物が「人間の醜さを絞り出すことが正直さと褒めそやされるのは暗転のある舞台の上だけ。現実はそうではない」と語るが、まさにどの作品も主人公が闇に突き落とされ、暗転で終わるバッドエンドではなく、どこまでも続く闇の中に居ることを自覚して終わるバッドエンド以上のバッドエンドであった。

2022/01/08

konoha

すごい文章書くなぁ。現代人を朝井さんにしか書けない角度から切り取る6編。冒頭の「健やかな論理」からドキドキする。最初の設定を信じていると、社会派ミステリーのように裏切られる。女性の書き方が絶妙。「風が吹いたとて」は夫、息子、娘のいる主婦の奇妙な冷静さがリアル。後半に行くにつれ、こういうことありそう、こういう人いそうという感じが増していく。すごく痛くて抉られるのに、サービス精神にあふれる朝井さんはエンタメとして完成させてくる。人が抱える問題と本性、その暴き方が怖いほど上手い。万城目さんの解説も素晴らしい。

2022/01/24

佐島楓

この小説を10年後読み返して、「このころのほうがましだったな」とつぶやく未来が来ませんように。

2021/12/24

yukaring

この世の生きずらさを切に感じさせる、心がズキズキと疼くような6つのストーリー。健やかな論理だけでは成立しない人生に派遣社員の心の底の澱、会社の利益のために不正に目をつぶるサラリーマンの良心の葛藤、尊敬する上司のスキャンダルから本当の痛みの在り処を知る男性、生まれたときからハズレくじを引かされているような敗北感を感じる女性、と絶望感と紙一重でなんとかそれでも生きている人々の日常。『絶望と幸せ』の差とは何なのか考えて鬱屈としてしまうので気力が充実している時でないと読むのがかなりキツイかも。

2022/09/30

masa

僕の場合、積極的にことばを発信しているときは「死」に魅了されている状態にストッパーをかけていることが多い。死に憧れる自分を厨二的だと俯瞰することでどうにか現実に繋ぎとめるような。 https://bookmeter.com/mutters/212633274 つぶやかなくなってから随分とたつけれど、その直前のことばがそんな精神状態をあらわしている。誰かがいなくなることは、世界が削れるのではない。自分が削れていく。だけど生きてる。人生はすでに、どこにも行けないから、せめて現実では言えない想いを聴かせあって。

2022/06/18

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