探検家とペネロペちゃん (幻冬舎文庫)
探検家とペネロペちゃん (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー
雲をみるひと
巻末の解説に書かれている内容が全て。探検本ではなく作者の娘の成長過程における様々なエピソードを題材にしたエッセイ集だが、作者の筆力が高いので面白く読める。作者の皮肉っぽさ、理屈っぽさには輪がかかっている印象は受ける。
2022/05/14
活字スキー
探検家・角幡唯介が何ヵ月も闇が続く過酷な極夜行と同時期に挑んでいたもうひとつの探検。それは異様なまでに可愛いすぎる娘の誕生、すなわち「父になる」ことだった。これまで「他の人がやらないこと」を語ってきた角幡さんが、ここにきて「他の多くの人が普通に経験すること」を語ることに期待と不安を感じながら文庫化を待っていた。誤解を恐れずに言うなら、内容的にはそれほど意外なものではなく、それでいて語り口は角幡さんならではの面白さとくだらなさに満ち満ちた素晴らしいものだった。あっぱれ!
2022/01/31
かば
角幡唯介は正直に筆をとる。たとえそれが社会的に受け入れられがたい内容であっても、自分の思ったことありのままを文章に残している。と思う。本人ではないから絶対ということはないが、例えば自分の娘に対する愛情に性的な眼差しとの類似を垣間見たときのこと、みたいな、一般的な人間からしたらたとえ思ったとしても言葉にすることを憚る出来事も赤裸々に綴る姿勢は、彼特有のものに思われる。
2021/12/27
全縁
角幡氏の育児エッセイ。娘が生まれたての前半は文章のテンションが高く(他の作品と比べると1文が長い気もする)、「そ、そうか...」という感じで読んだ。後半はやや落ち着いてくるし、娘の成長に振り回される様子が抜群に面白い。今の自分には父娘の性意識を書いた「娘にかわいくなってもらいたい父親の心理」が出色だった。解説で武田砂鉄が指摘する通り、内容で自分の感覚と引っ掛かる点はだいぶあるんだけど、やっぱりよくこんなに面白さが伝わる書き方をできるなあ、とも思う。
2022/04/24
pitch
探検家が齢37にして父親になって、その娘との日々を書いたエッセイ。前半はテンパってる感じで、いつにも増してクドイなあと思っていたら、後半いい感じに落ち着いてきて、なかなか読ませる育児論になっている。最後の山に登る章は感動してしまった。しかし、探検家のくせにファミリーキャンプとか、休日にショッピングセンターとか、笑ってしまったけど、この柔軟さがこの人の魅力なんだなあと思った。
2022/06/02
感想・レビューをもっと見る