野良犬の値段(下) (幻冬舎文庫 ひ 16-11)
野良犬の値段(下) (幻冬舎文庫 ひ 16-11) / 感想・レビュー
ナルピーチ
放送作家出身の百田先生らしい構成の妙。まさか下巻へと移ってたったの数ページでこの小説の世界観と捉え方が、ガラリと反転するとは思わなかった。警察、メディア、誘拐犯。極限の中での心理戦の行末と、人質達の迎える結末とは…。想像を超える展開と意外性。先が気になる高揚感に無心に頁を捲る。誰の視点に立ってこの小説を読むかによってもその価値感が変わると思うが、どんな人間であろうと値段(価値)をつける事はできない。極上の社会派ミステリーは総じて面白く、エンタメ作品としてもオススメの一冊!是非とも映像化もしてほしい。
2022/06/25
chiru
下巻は、誘拐犯VS警察VSメディアの三つ巴で幕をあける。人間の習性や心理を利用した日本全体を巻きこむ誘拐事件の裏側を描く。その裏側が面白い!半信半疑の刑事、数字に固執するメディア、体裁重視の新聞社。誰が出し抜き、誰が罠に落ちるのか? 一瞬も気の抜けない頭脳戦。しかし下巻に入るとたった数ページで物語の背景が反転するとは…! 神であろうと「命」に「値段」をつけることは出来ない。極上ミステリーの傑作を読めて楽しかった✨エンタメ作品としても朱玉の一冊!是非とも映像化してほしい🎬 ラスト1行が最高で爽快✨
2022/07/01
いこ
上巻は「新聞社」「放送局」「出版社」「警察」の視点から話が進んできた。下巻は、ここに「犯人」「人質のホームレス」の視点が加わり、物語を引っ張る。特に、語られてゆく人質各人の過去は壮絶であり、物語の核ともいえよう。読書から知ることは多いが、「命の大切さ」「人権保護」を謳っているはずのマスコミの裏の世界に驚いた。そして、いつのまにか犯人を応援している自分がいた。確かに「誘拐」は犯罪であり、「殺人」なんてもってのほか。しかし、物語の終わりは爽やかですらある。著者の幕の引き方に舌を巻いた。一気読み必至の一冊。
2023/05/14
白いワンコ
主人公がいない?という問題は(下)序盤で回答がほのめかされ、読み進めていくうち徐々に輪郭を濃くする。意外なことは読後感が爽やかなことだが、解説で作者の代表作に触れており、この点にも納得だ。まとまりある、よく出来た作品だと思う。ミステリーというには、隠されたカードがやや少ないとはいえ
2022/06/30
金吾
○ミステリーとしても面白かったですが、マスコミの偽善性や大企業の傲慢さも面白かったです。また佐野くんが最後までいい味をだしていました。
2024/01/06
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