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ピカソになれない私たち (幻冬舎文庫 い 64-4)

ピカソになれない私たち (幻冬舎文庫 い 64-4)

ピカソになれない私たち (幻冬舎文庫 い 64-4)

作家
一色さゆり
出版社
幻冬舎
発売日
2022-09-08
ISBN
9784344432260
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ピカソになれない私たち (幻冬舎文庫 い 64-4) / 感想・レビュー

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よっち

選ばれし者だけが集まる、国内唯一の国立美術大学・東京美術大学油画科。スパルタで知られる森本ゼミに属することになった望音・詩乃・太郎・和美、それぞれの葛藤を描く青春小説。地方出身で天才的な画風の望音、技術はあるがこれといった特徴のない詩乃、美大生としての自分に迷いをもつ太郎、前衛的で現代的な作風の和美。厳しい森本の下で才能とは何か、過酷な現実を何度も突きつけられ、周囲を妬みぶつかり合う厳しさを痛感しましたが、それぞれが悩んできたことに対する自分なりの解答を見出してゆくその結末にはぐっと来るものがありました。

2022/09/08

エドワード

東京藝術大学と思しき美術大学。厳しさと毀誉褒貶の絶えない森本教授のゼミで油絵を専攻する四人の若者。エリートの猪上詩乃。アート志向で五浪の中尾和美。離島出身の天才肌・汐田望音。グラフィティに憧れる小野山太郎。四人と教授との、芸術と才能をめぐる戦いが渦を巻く。「自分の絵を描け。」それだけのことの何と難しいことか。望音と詩乃の葛藤、太郎の憂愁の丁寧な描写に満ちる青春の哀歓。森本教授の「いい絵っていうのは、人の心を動かす絵だが、人の心を動かそうとする絵は、あざとくて、いい絵ではない。」という言葉は実に的確だ。

2022/11/01

白雪ちょこ

東京美術大学に通う4人の、青春と苦悩が描かれている。 才能とは何なのか、といったリアリティが追求されており、最後まで読む手が止まらなかった。 教師である森本のやり方や、罵詈雑言など今の時代にそぐわない態度に、最初は嫌悪感を入れていたが、最後の方でそうなってしまった姿が描かれており、読み返した時にグッとくるものがある。 天才だからこその苦悩や、それに追いつこうとするの心の葛藤など、とても面白かった。最初は詩乃が大嫌いだったが、最後は望音と仲直りができてよかった。 ハッピーエンドなのも良い。

2024/07/11

こばゆみ

国内最高峰、芸術系国立大学の油画科に通う4人の大学生を軸にしたお話。真新しいストーリーとかではないけれど、「芸術」という明確な物差しがないジャンルで大学生たちが奮闘する様子がリアルに描かれていた。それにしても絵画の印象を文章にするのがめちゃくちゃ上手い作家さんですぜ…!

2022/10/13

coldsurgeon

アーティストとしての才能に溢れたピカソになれなかった私たち4人の美大生が、卒業に向けて最後の一年間を同じゼミで悩み生きる姿を描く。彼らを指導する教授がミステリアスでパワハラ・アカハラおじさんであるからミステリーの要素があるのかもしれない。才能というのが何であるかを問いかけているのだが、明確に示すものはないのだろう。読後にそれぞれの心におぼろげに浮かび上がるものと思う。アートは過去に学び、過去を更新して未来を創る行為であろう。そしてアートは自分にとって見たい世界を創るものだ。その行為が「才能」だろうか。

2022/09/30

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