同姓同名 (幻冬舎文庫)
同姓同名 (幻冬舎文庫) / 感想・レビュー
ナルピーチ
この小説を読み終わって真っ先にした事と言えば自分の名前をネットで検索してみた事。あまりいない名前なのだろうか、意外と一人だけだった。今まで特に意識した事もなく、自分と“同姓同名”の方がどんな人生を送っているのかなんて考えた事もなかった。もしも自分と“同姓同名”の人が殺人事件の犯人となってしまったら…あなたにはどんな人生が待っているのでしょうか?そんなもしもな世界を極限までに突き詰め、リアリティを付け足し、ミステリーとして昇華する。さすが下山先生、その超絶技巧な作品を存分に楽しませて頂きました!
2023/03/23
のんちゃん
女児惨殺事件の犯人が捕まり、その名は大山正紀といった。少年が犯人であったこの事件はとある雑誌により実名報道がなされてしまい、そこから同姓同名の大山正紀達の人生が狂い始め、また、殺人事件が起きた。時系列の歪み、なりすまし、嘘、事件in事件、そしてもちろん叙述トリックなど等、ミステリーの要素のてんこ盛りの話だった。そして着地、あぁ、そう言う事ねと思ったら、また、最後の最後に騙された。ただ本作は単に謎追い話と言うだけでなく、今問題となっているSNSの在り方にも言及する作品にもなっている事を最後に付け加えたい。
2022/11/29
アッシュ姉
もしも殺人犯と同姓同名になってしまったら。起こりうるかもしれないのに想像してこなかった世界。ほんと世の中は他人を攻撃しすぎる。最初はうむうむと読んでいたのだが、だんだんしんどくなってきた。ぜんぶ理解できたか怪しいけど読み終わったことに解放感!いまのところ、同姓同名の人に会ったことがないことに両親に感謝したい。
2023/03/22
Kanonlicht
殺人犯と同姓同名だったため人生を狂わされた「大山正紀」たち。数年後、「同姓同名被害者の会」として集まった彼らにはそれぞれに思惑があって…。設定がキャッチーなのでビブリオバトルの本に選ばれるのも納得。確かに人に話したくなる。中身は叙述トリックの見本市のようで、安定の面白さ。途中からすべてが疑わしく思えてくるも、さすがに最後のオチまでは予想できなかった。物語の特性上、一気に読まないとたぶんわけがわからなくなるけれど、展開が早いのでするする読めたのはよかった。
2024/04/12
かぷち
同姓同名の犯罪者の存在に苦悩し、誹謗中傷に晒される日々。登場人物たちほとんどが大山正紀。この有りそうで無かった設定でどう料理してくるのか。視覚・聴覚に頼れない文章だとイメージしきれなくて混乱、小説において名前は強烈な個性であることに今更ながら気が付いた。と同時に名前というものの不確かさと恐ろしさ。名前はただの記号じゃ無い、自分の存在そのものを定義し社会の一員に組込む枷のようなものなんだと痛感。少年法・SNS・集団心理、様々な社会問題も散りばめられていて興味深い。正義とは何なのか、何が正しいのか?
2023/10/03
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