逃亡者 (幻冬舎文庫 な 39-2)
逃亡者 (幻冬舎文庫 な 39-2) / 感想・レビュー
toshi
2020年の長篇作品。主人公はジャーナリストの男性。ひょんなことから、第二次大戦で使用されたという曰く付きのトランペットを持って追っ手から逃げるようになります。果たしてトランペットの秘密とは、そして男性の運命は?570ページを超える大作ですが、長さが全く気にならない程構成が良くまとめられており、ほぼ一気読みでした。ストーリーテリングの妙は村上春樹氏を、悪の描き方は伊坂幸太郎氏を想起しました。本作は宗教、戦争、人間等様々なテーマが描かれていますが、どれも考えさせられるものがありました。
2024/08/01
優希
凄い作品を読んだような感覚に陥りました。恋人と自分をつなぐトランペットを持ち、逃亡する青年。偏愛するそれは過去では伝説となり、「悪魔の楽器」と言われるのに引き込まれました。正体も不穏な男、過去と現代の交錯。突然始まった逃亡の日々は過去へと繋がるガジェットなのですね。青年がそっと息を潜めつつも存在感があるのが印象的でした。今読むべきして読んだような気がします。
2023/01/06
ω
こちら文庫にて(^ω^) 序盤は逃亡者らしく逃げるんだけども、その後はキリシタン弾圧や世界大戦など交錯し、目がぐるぐる回るw でも中村先生ファンの私はどこまでもついていきます!!文庫版ご自身で解説文の中にある「共に生きましょう」と言って貰えるとそれだけでもうタマランチ……
2024/02/18
Shun
緊張感漂う幕開け。主人公が部屋で息をひそめていると、不意に危険な空気を纏う男Bが闖入し殺意を向けてくる。どうやら彼が持ついわくつきのトランペットを狙う危険な人物のようだ。Bは気まぐれに立ち去る際、1週間後の生存率は4%だと告げた。まさに危険と隣り合わせの逃亡者となった主人公。トランペットとその所有者、そして悲運の死を遂げたベトナム人の彼女と自らのルーツに触れる逃亡の旅が始まる。それは第二次世界大戦時の日本軍の所業や、原爆を落とされた長崎とそこにいた多くのキリシタンの迫害の歴史に深く入り込む重い内容だった。
2022/12/04
さち@毎日に感謝♪
分厚い本で、読むのに時間がかかりました。戦争やキリシタンの弾圧を通して理不尽な事は多いけれど、それでも必死に生きていこうというメッセージ性のある物語かなと思いました。読んでいて、色々と考えさせられました。
2023/12/12
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