日本の七大思想家 丸山眞男/吉本隆明/時枝誠記/大森荘蔵/小林秀雄/和辻哲郎/福澤諭吉 (幻冬舎新書)
日本の七大思想家 丸山眞男/吉本隆明/時枝誠記/大森荘蔵/小林秀雄/和辻哲郎/福澤諭吉 (幻冬舎新書) / 感想・レビュー
ころこ
あまり読まれていないようですが、凄い本だと思います。著者の出自から丸山、吉本までは当然として、その後に最も著者が活き活きとする時枝を持ってきて大森、小林、和辻、そして福澤に帰ってくる。著者も序説で書いている通り、柳田が入っていないところが批評的です。著者も全共闘世代で、先祖返りするか保守的になるかでそのひとの人格に迫れるメルクマールとして非常に有益です。本書を読了するのに足掛け3年くらい掛かっていて、前半を読み返すと前提の知識が変わっているため、著者の文意が今なら分かるところがあり非常に勉強になりました。
2021/11/08
やまやま
日本という国やその文化を大事にするという行動は、むしろ現在の方が共感を生む余地が増えている気がします。敗戦の後構築された社会や教育のシステムから徐々に変わっていくために必要な生物学的時間なのかもしれません。本書を一旦読んだ後で、改めて福澤から吉本への時系列順に読み直してみました。歴史を感じる一方、歴史をどう超えるかの苦悶がそれぞれあるようです。共通して社会はどのように統合されるべきか、自社会と他社会の関係をどうみるか、それは政治経済のみならず文化要素、特に言語が大きな役割を果たすという点が興味深いです。
2021/11/23
袖崎いたる
日本における先の敗戦経験を基盤に据え、その上で思考を重ねていった人たちの紹介本…に収まらず、その崇高さを毀誉褒貶相半ばした評を加えて毒抜きしてる本。著者の構えはよくも悪くもまともで、その批判仕方には彼の眼鏡の色合いが反映されてるが。その色合いも常識的であって、いわばアリストテレスの流儀が窺える。とまれ読むとわかるが、和辻哲郎さんに私淑してるらしく、極端にいえば彼の思考を下地に論を展開してる。他方で大森荘蔵さんには手厳しい。しかし反批判の余地もある。それはやはり著者が常識への内在に執着する点が淵源となり。
2016/08/09
NICK
近代日本を代表する七人の思想家を「日本の近代とは何だったのか」というような視座から論じている。近代日本思想史のように思えるが、ニュートラルな立場から解説ではなく、著者の倫理学的な見地からの批評を交えた論考であるので内容としては初学者には向かない。丸山眞男や吉本隆明が安保闘争の際、大衆に過大な評価を与えてしまっていたというあたりはなかなか気になる部分。結論で新しい理性的なナショナリズムを打ち立てるべしと述べているが、どんな理想を謳っても個人的にはやはりナショナリズムという言葉に一種の臭気を感じずに入られない
2013/03/10
kenitirokikuti
まだ読書中だが、自分になじみのある丸山眞男・吉本隆明・福澤諭吉の章をざっと読んだ。本書の狙いとして、小浜は「敗戦」を日本史上最大の事件とし、そこを焦点にしている。そこを読んで、自分の注目点が「戦後民主主義どうでしょう?」になってたとこに気づかされた。まぁ、自分は団塊ジュニアだし、両親の実家とも疎遠だし(両親とも末っ子なので相続と縁がない)、戦中派の鬱屈・囚われは皮膚感覚ではわからない。吉本本人と吉本主義者が阿呆なところで決死のテンションで意地を張る悪癖がある…てのが説かれている。弁護でなく介護の世界。
2020/07/10
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