恐怖の構造 (幻冬舎新書)
恐怖の構造 (幻冬舎新書) / 感想・レビュー
absinthe
ためになった。「不安は恐怖よりストレス」は重要なキーワードになりそう。恐怖を感じるシチュエーションについて作家としての自身の感覚をエッセイ風に綴った本。紹介のあった『ブレイブ』も読んでみたい。学者でないためか読んでて楽しいがまとまりが薄いが、作家として怖がらせ続けてきた本人のキャラクタが紙面ににじみ出ており好感が持てる。 主人公以上の緊張を脇役が強いられると、主人公の緊張が薄まるので気をつけようとか、割と重要なテクがちらほらと見られる。
2019/04/11
absinthe
人は恐怖より不安を嫌悪するらしい。大きいが確定した損害より、損害を受けるかどうか分からない未来を、より恐れるのだろうな。その他、ホラーの楽しみ方として、ホラーを如何に書くかという点に注目するのも面白い。書き手の視点で読むと怖がらせようと作者が行った様々な工夫にも気づくことが出来る。
2024/08/07
青蓮
本書はホラーの名作を例に挙げながら人間が恐怖や不安を抱き、それに引き込まれていく心理メカニズムを考察する。私は「怖いもの」が平気で好きですがその理由が本書で明らかにされていてとても勉強になりました。「ホラーが好きな人間には、かつて恐怖に助けられた人が多いよう」で確かになと納得。「人生がどれほど絶望的か」でホラー嫌いかそうでないかが別れるそう。ホラーには痛みを忘れるには更なる痛みを、みたいな、ある意味ショック療法的な側面があると言えそうです。またホラー小説の楽しみ方、書き方までレクチャーされていて興味深い。
2019/04/04
かみぶくろ
恐怖の構造を科学的に分析した本かと思いきや、ほぼ平山夢明さんの作家論と私見。だからこその面白さというか、この異色の作家がどんなことを考えて作品を書いているのかがよく分かり、大変興味深かった。「君ほど殴りたいと思った人間はいない」と50年も言われ続けてきた、強烈な個性の源泉が堪能できる。特に精神科医との対談が面白く、恐怖を極端化すると笑いになるという著者の指摘通り、なんだかヤバイとしか言いようのないユーモアがあった。
2019/08/12
アキ
小説「DINER」の著者。ホラーが好きすぎて、仕事にしてしまう程の著者が、「恐怖」について考えを巡らす。H・Pラヴクラフト「人間の感情で最も古く、最も強いのは恐怖である。」原始的な感情の恐怖を扱うホラー好きとそうでない人との違いは、人生がどれ程絶望的かなのではないか。ホラー小説のゴール設定は主人公が最終的に生き残るか死ぬかで、サスペンスは過程が重要だと。そしてストーリーには緊張と緩和が必要、文章は説明でなく描写など、作家の視点からの蘊蓄が楽しい。おススメの映画「テナント」と「ゲット・アウト」を見てみたい。
2021/12/06
感想・レビューをもっと見る