言語が消滅する前に (幻冬舎新書)
言語が消滅する前に (幻冬舎新書) / 感想・レビュー
けんとまん1007
かねてより哲学は、日々の営みの中にあると思っている。さらに、今の状況を考えると言語化することへの危機感がある。言葉が軽んじられ、意味の無い情動的なものだけが跋扈しているからだ。そんな思いを、整理し勇気を貰った。ここ数年の世情が明確に分析されているのが素晴らしい。文字・画像・動画・・いろいろあるが、最後は、やはり言葉だと思っている。「人倫」という2文字が心に残る。ここを忘れてしまった人の姿。また、エビデンスに頼る・・実は、そこに逃げているという指摘も納得。自分の頭を絞ろうと思う。
2022/03/05
ころこ
超絶にベタな組み合わせの対談ですが、集英社新書やNHK出版新書ではなく幻冬舎新書であることに、ふたりのそれこそ中動態的なバランス感覚が健在なのを確認します。2017年から断続的に行われた対談が5回分収録されており、前半の2回でふたりの最近の代表的な仕事である『中動態の世界』『勉強の哲学』が論じられています。哲学は議論が回りくどいので、ふたつの著作で迷子になってしまった読者は本書を見取り図として使用してみるのが良いかと思いました。國分は『中動態』に依存症の問題から入ったことを強調しています。コロナで生活リズ
2021/11/26
うえぽん
2017〜2021年にかけて5度に亘る2人の第一線哲学者の対話を収録。シリーズものではないが、言語の力の衰退が通底認識。重要な問いとして受け止めた議論としては、崩壊しつつある「権威主義なき権威」をどう再生させるかと、エビデンス主義や法務的発想は民主主義的側面もあるが責任回避が過剰であり、重層的時間の中での正義を目指すべきというもの。「中動態の世界」と「勉強の哲学」という各々の著書の紹介も語学を含めた「勉強」欲を刺激する。ネオ民主主義論やデータ万能論に欠落している言葉や話し方の重要性に気付かされる対話集。
2024/04/30
nbhd
回答のない問題群に2人がどうにかこうにか言葉を積み上げていくのが刺激的。今後も引きずっていきたいポイントを僕なりにタイトルをつけてまとめると→。①就職活動で“でっちあげた動機”が「意志」として流通しちゃう問題。②民主主義の徹底がもつ二面性と、その突破口としての「精神的貴族性(?)」。③教育はコミュニケーションなのか、非コミュニケーションなのか問題。④言語の、本質的な遅延性。⑤玩具的な言葉の使い方について。⑥運動における無目的性の楽しさについて。⑦マイノリティーのネガティビティーについて。7つもあったyo!
2022/04/06
ta_chanko
キーワードは能動態でも受動態でもない「中動態」。勉強でも何でもプロセスが大切。「遊び」のように没入する行為を見直していく。「中動態」=情動とエビデンスの間。そのためには言葉が極めて重要。現代は物事の判断が、情動=他者排斥と、エビデンス=責任回避の両極に分かれてしまっている。また、絵文字スタンプやInstagramなど言葉を必要としないコミュニケーションが幅をきかせ、言語活動が貧相になってきている。人間らしく生きるには、やはり言葉が大切。
2022/02/01
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