橋本治が大辞林を使う
橋本治が大辞林を使う / 感想・レビュー
還暦院erk
図書館本。表紙の橋本さんの感じが本人によく似てる~。さて、わたしはもう2年ほど、日課として辞書を丁寧に読んでいる。更に仕事でもしょっちゅう各種辞書を使ってるのだが、還暦近くになってるのに「お初にお目にかかります」的言葉や自分の既存知識の欠落に次々出会う。母語でもだ!だから碩学橋本さんに昔から憧れていた。…こんなにアタマ良い人がこの世にいないなんて、残念でたまらない。まぁ、橋本死して本を残す…なのでこうやって彼の脳の中身を少しでも「読む」ことが出来るのは有り難い。本書もいろいろためになったよ。
2020/02/04
ご〜ちゃん
『大辞林』が「江戸期から立ち上がる辞書」だという、橋本治さんの言葉がようやく理解できた。「長い間日本人が使っていた、使い込まされることによって洗練された言葉、実質的な言葉」。そういうことを今の今まで考えたことがなかった。もっと言葉の意味を深く感じてみようと思った本。
2013/03/02
なかち
子供は空き地で自分たちの言葉を作る。標準語は明治の近代になって作られたもの。最初の標準語は出身地がバラバラの女たちの背景を隠すために「統一吉原基準」、遊女のありんす言葉。自分の言葉遣い+他人の言葉遣いで話し言葉が作られる。「言葉の乱れ」指摘の理由は疎外感、危機意識。方言は土着化した古い言葉。漢字という外来文字で記述したところからスタートした日本語は常に検討を必要とする。「ださい」という言葉ができて自分の嫌悪が一言で説明できるので驚いた。ある時期の大学は左翼用語を使いこなせる人間だけが頭がいいとされた。
2012/06/16
hagi
なかなか辞書の話にならないなと思いつつ読み進め、「敬語とは、人間関係の『上下』とは違う、人間同士の『距離」である」に「おお!」と思ったり、英語を漢文のように教えているという話に「なるほど」と思ったりした。感想とは違うけれど、「そういう断絶の仕方があるのです」という文章の「そういう」が、前の文章とかいうレベルではなく、前の100ページぐらいを指したりすることがある剛腕ぶりって面白い。
2011/08/19
ご〜ちゃん
自分の「嫌悪」を説明するためにさまざまな言葉を使い、そのたんびに「でも違う……」と思い、「一体この感情はどのようにすれば説明できるのであろうか」と苦闘すること。すべてをたった一言で説明してくれる「ださい」の一語がなかったおかげで、私は「これをどのように説明すればいいのか」という思索の習慣を身につけてしまったということ。 ボキャブラリーが乏しいと思考が浅くなるのと、ボキャブラリーが豊かであるが故に思考が浅くなり得るのかなと思った。
2015/09/29
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