首 (現代教養文庫 941 山田風太郎傑作選 1)
首 (現代教養文庫 941 山田風太郎傑作選 1) / 感想・レビュー
夜間飛行
「山屋敷秘図」は類のない異色作。どんな拷問にも屈しなかった伴天連が快楽地獄に転がり落ち、天国の幻を見ながら死んでいく。「みささぎ盗賊」「万人坑」「蓮華盗賊」など最初期の作品群は皆すばらしく、舌なめずりするように人間の悪逆非道を描きながら、それを美化するといった気取りとは無縁である。いずれの場合も、悪と滅びの連鎖を際限なく繰り返しつつ、生命が圧倒的な輝きを放っている。「降倭変」では無敵の李舜臣と島津の決戦に夢中になり、「怪異投込寺」では北斎さえ慄く怪絵師の正体に、頁を繰るのさえもどかしかった。読書の醍醐味!
2014/05/30
感想・レビューをもっと見る