根をもつこと 新版
根をもつこと 新版 / 感想・レビュー
ケイトKATE
圧倒的な抑圧と暴力の時代に、人間の生きる意味を問い続けたシモーヌ・ヴェイユ。『根をもつこと』は、1940年フランスがナチス・ドイツに占領された衝撃から書かれた。祖国や居場所を失うことを“根こぎ”と称して考察した文章は圧巻である。植物の根のように、住んでいた場所が“根こぎ”として破壊されることは、人間の生きる尊厳の喪失であり“根こぎ”した者への隷属を意味する。ヴェイユは“根こぎ”されても、心にある霊感を大切にすることを訴えている。ヴェイユが生きた時代に似てきた今だからこそ、じっくり考えたい。
2022/07/21
nao
タイトルに惹かれて読み始めた。「神はこの地上で報われることのない努力、空虚のうちで成し遂げられた努力しか報いる力をもたないのである。空虚は恩寵を引き寄せる。空虚の中の努力のみがキリストのいう天に宝を積むという行為となるのである」という文章が心に響いた。報われなくても日々着実にやっていこうと思う。
2017/03/12
ndj.
「義務の観念は権利の観念に優先する。権利の観念は義務の観念に従属し、それに依存する。一つの権利はそれ自体として有効なのではなく、その権利と対応する義務によってのみ有効となる。」義務を放棄して権利ばかりを言い立てる時代に、本書が白く鋭い槍となって深く厳しく突き刺さらんことを。
2009/03/18
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