カフカはなぜ自殺しなかったのか? 弱いからこそわかること
カフカはなぜ自殺しなかったのか? 弱いからこそわかること / 感想・レビュー
ベイマックス
カフカ、おもしろく読ませて頂きました。でも、親友といい婚約者といい、変わり者に付き合える才能も変わり者ゆえなのかも。〇ある意味頑固者過ぎるので理解の範疇を超越しているけれども、共感出来てしまうところもある。そして、共感出来る自分が、少し嬉しく少し怖い。
2024/10/10
Y2K☮
名著。カフカの遺した膨大な手紙と日記が他人事じゃない。誰よりも大切に思っていて、だからこそ返事を待ち切れず、時に暴走して困惑させる。同じ相手と二度婚約し、二度破棄した背景が切ない。「掟の門」は彼の生涯そのものだと実感した。本を出したいけど出したくない。結婚したいけどしたくない。意を決して実家を出た後の末路を見ても彼の逡巡が間違いとは思えぬ。「判決」はフェリーツェに初めて手紙を出した直後に書かれ「審判」は実体験を膨らませたもの(カフカはヨーゼフKと違って無実とは言い難いかもしれないが)。全てを読み直したい。
2023/11/08
香菜子(かなこ・Kanako)
カフカはなぜ自殺しなかったのか?: 弱いからこそわかること。頭木弘樹先生の著書。将来に悲観的、絶望的、孤立無援で生きる気力もないという状態に置かれている弱者だからこそ見えてくるものは決して少なくないと思います。順風満帆で自信満々の強者には決して見えないことでも弱者だからこそ見える。そしてそれが人生の糧になることだってあるはず。
2018/12/28
おさむ
木皿泉さんのエッセイの中で引用されていた1冊です。不世出の絶望名人かつノイローゼのエキスパートたるフランツ・カフカ。その40年の生涯を文学作品ではなく、日記や手紙から浮き彫りにする、という興味深い試み。あの「変身」や「審判」が運命の女性、フェリーツェとの出会いと別れがなければ、生まれなかったというエピソードはトリビアでした。情緒不安定だからこそ創造性が高まるというのは、古今東西の作家達に共通する真実なのでしょう。言葉にすると逆に不正確になる。「言語隠蔽」という概念は初耳でしたが、なるほど腑に落ちました。
2019/08/11
ばんだねいっぺい
頭木さんの本だからと手に取る。読めば「あぁ、カフカ」となる。簡単に言えば「手紙魔で情緒不安定なめんどくさい人」なのだ。テーマである「自殺しなかった理由」は、直接に表現されず、カフカの生きざまを文章を引用して提示してそこから読者が読み取る趣向だ。最後の写真を見ると「めんどくさいけれど、愛される人」なんだと思った。
2022/01/23
感想・レビューをもっと見る