寄る辺なき時代の希望: 人は死ぬのになぜ生きるのか
寄る辺なき時代の希望: 人は死ぬのになぜ生きるのか / 感想・レビュー
おたま
田口ランディは名前だけは知っていたものの、著書を読むのは初めて。「人間はいつか死ぬのに、生きる意味はあるのか?」という読者からのメールに答えるために、田口ランディは様々な場へと出かけて行き、そこで感じ、考える。スウェーデンの認知症専門施設へ、浦河べてるの家へ、ベラルーシのブジシチェ村(チェルノブイリ原発事故後に放射能汚染にあった)へ、そして水俣へと旅をし、現地の人々と語らい交流する。その合間に、自分の認知症の母のこと、ひきこもりで餓死にいたった兄のこと、所属していた劇団のリーダーKのことが語られる。
2023/03/31
ただぞぅ
「人は死ぬのになぜ生きるのか」その答えを探す旅物語。困った時は旅へ出る。旅好きにはたまらない一冊。訪ね先は認知症や精神障害者施設、公害病都市など様々。しかも国内に留まらず、福祉や原発問題にも触れている。特に福祉先進国であるスウェーデンの実態には驚愕。ケア技術はさほど変わらない。だが「そこまでするか」というくらいの徹底ぶり。まるで「枯れ木を豪華な温室にいれ24時間付きっきりで面倒みる」のようだ。訪れた先で家族との時間を回想する日々。そして生きることは、季節を感じ大きな自然の一部となり生かされることに気付く。
2023/10/08
バーベナ
知らない、分らない、ということを素直に認めるのは勇気がいる。でも、田口さんにはその勇気がある。そこから始まる旅の面白さが、ぐぐ~っと自分の闇に届く。理解できないのではなく、自分をつくってきた枠組みを守りたいから、理解をしたくないだけなのだ。ベテルの家、水俣、ベラルーシの放射能汚染。人とであって、知り合い、忘れられて。そうしたらもう一度、何度でも出会えば良い。何か大切なことを気づけた気がする。とりあえずは、それが何なのかははっきりさせないで、もやもやしつづけよう。
2013/10/10
マンゴー
人間が上ではなく、全ての生命への賛辞。あらゆるものに魂が宿っていることに畏敬をもち、祈る事。全ての人が自分は唯一無二の存在であることを自覚し、自分の弱さも表現する。認める。人間としての権利は与えるものでも授かるものでもない。この緻密で精妙な世界にはたましいというコンセプトが似合う。
2021/07/17
みみみ
「肝心なのはこたえを出そうとしないこと」
2014/07/23
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