東京抒情
東京抒情 / 感想・レビュー
kinkin
東京に住んだことがないのにとても懐かしい気になるのはなぜだろう?川本三郎さんには昭和30、40年代の日本映画がよく登場する。映画の中のなんでもない街景色が描かれているシーンがそう思わせるのか。東京というのは以前読んだ小林信彦さんの本に書かれていたと思うのだけれど昭和39年の東京オリンピックを境に大きくかわってしまったそうだ。そのあたりもこの本には書かれていた。あれから50年、今度は4年後のオリンピックに向けて街は大きく変わるのかな。古きよき東京を知る人も記憶も少なくなり薄れていくのかな・・・
2016/09/20
Shimaneko
「さまざまな雑誌に書いてきた文章をまとめた本」(あとがき)なので、内容や描写に重複が多いものの、時代の波間に消えて行ったノスタルジックな情景の数々が興味深かった。そういや、まだ池袋の駅前に都電の電停があった頃、祖父の部屋(雑司が谷)から晴れた日には富士山が見えたし、母方の祖父母の家(松原)のトイレが汲み取り式で怖かった記憶が甦る。なんだかすでに前世の記憶みたいだな。
2016/02/05
なっく
これを読んでやっぱり自分は関西人なんだと思ってしまった(笑)ここに描かれているのは古き良き、下町の味わいを残す東京なのだが、かえってそれが日本の首都として、最大の都会として成長してきた東京、憧れの都会であることを感じさせる。これくらいの距離感がちょうどいいかも。
2016/06/23
ジュール
少し昔の東京、作者にとっては懐かしい昔。 この東京の色々な場所を映画、文学の場面を入れながら描写する。 東京一極化というが、たくさんの人が居るということは文化も多様性があるということ。 江戸時代からつづくながれが羨ましい。 作者は電車にのったり、川を辿って歩いたりと、年齢の割にタフ。 特に広い居酒屋で孤独を愉しむ気持ちは良くわかる。
2024/09/14
harvest moon
川本さんの東京に関する文章を集めたもの。 40年前に数年東京に暮らしたのだが、西側の街が好きでプレイタウンも高円寺や吉祥寺、新宿、渋谷だったのだが、最近は上京すると東側の街が 好きになって、いわゆる下町を訪ねる事が多くなった。この本は3つのパートに分かれていて、「ノスタルジー」「残影」「文学、映画」を語っている。 昔は植草甚一氏が散歩を語っていたが今は川本さんがその役を担っているのかな。勿論、質は随分違うけど。
2016/02/07
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