「それでもなお」の文学
「それでもなお」の文学 / 感想・レビュー
ミッチ
2011年3月11日の後に、川本さんが悲惨な死を通してあらためて文学を通して評論家としての持論を纏めた。その中でも、堕落論の坂口安吾の知られざる側面(私だけかも知れないが)を知ることが出来た。「堕落論」の明るさ、威勢の良さの裏には、20歳で死んだ姪に切なさを抱き、死と拮抗するところを文学のふるさとにしようと決意したなんて知らなかった。川本さんからみた多数の作家の人となりを知ることができました。読メの皆さんはご存じのことばかりかも…………読んで良かった!桜木紫乃「砂上」について素晴らしい批評をしていますよ
田中峰和
3.11は人々の死生観に大きな影響を与えた。連日津波が襲う映像を見せられたら誰だって恐怖以上に、命のはかなさを考えさせられる。作家や読者にも何らか影響が出て当然だ。川本は10万人以上の死者を出した関東大震災の影響も論じている。震災を挟んで、東京の人口はわずか10年で2倍以上に増加し、変貌した。永井荷風が描いた女性を主人公とする小説を読めば、当時の風俗や女性の立場がよくわかる。素人女性が接客するカフェがブームとなり、公娼から私娼へと性の担い手は多様化する。女性が収入を得る困難さは戦後もしばらく続いたようだ。
2018/09/15
いのふみ
「悲しさ」という側面から文学を論じた視線に共感する。ほとんどの文学に悲しさという感情が底に流れていると感じる。
2022/03/04
がんちゃん
いく編か読んでみたい本がある。
2020/03/02
のせなーだ
私も坂口安吾を読み始めて、確かに救われたひとりである。太宰の作品ばかり読んでいた頃、10代で出会えた堕落論のおかげで、本当に明るい窓へ出られてよかったと思ったものだ。当時は太宰から離れて救われた気がした。少しは脱皮できた気になったものだ。
2018/12/13
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