人間豹 (江戸川乱歩文庫)
人間豹 (江戸川乱歩文庫) / 感想・レビュー
いたろう
本作が書かれたのは、「黒蜥蜴」と同時期の昭和9年。人間豹とは、不気味な燐光を放つ目、野獣のような牙、肉食獣のようなざらざらの舌を持ち、二本足より四本足で走る方が早いという獣のような怪人物。その正体は、はっきりとは書かれないが、果たして、人間と豹の合の子なのか? そして、この人間豹が、殺人鬼として、東京中を震え上がらせる。犯罪を重ねる人間豹に対抗できる者はいないのか、と思われたところで、ようやく中盤から、明智小五郎が登場。明智を何度も窮地に立たせる怪人・人間豹は、明智の敵としては、かなり強力な相手なのかも。
2023/11/11
cogeleau
乱歩特有の怪人対探偵・明智小五郎の探偵活劇の一つ。前半は主人公の青年が気に入っていた女性たちを立て続けに人間豹に奪われるストーリーだが、後半は明智探偵に主役の座を譲って、完全に脇役になる。レビューの女優として以前連作小説に登場していた「江川蘭子」の名前がここにも使われている。性格描写の点では前作のほうが印象深かった。どちらにしても怪人とその一味の手際の良さに対し、警察側の間抜けさが目立ち、それを明智小五郎がカバーする図式になる。乱歩のエロ・グロの趣向には犯人たちの心の奥が見えない不気味さがある。☆
2023/11/05
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