盲獣 (江戸川乱歩文庫)
盲獣 (江戸川乱歩文庫) / 感想・レビュー
めしいらず
再読。乱歩自身が失敗作だと断じた本作。前半は触覚頼みの盲人と囚われの身の女たちとの倒錯的な性愛の交歓を、後半は殺人淫楽症に成り果てた主人公の快楽殺人と自己顕示欲を描く。確かに話の軸がブレているし無駄が多くて冗長なきらいもあるしで成功作とは言い難いが、ねっとり濃やかな性愛描写やバラバラ死体を飾り立て衆目に晒すやり方には乱歩ならではの悪趣味な美学があってさすがだ。とは言えイモムシごろごろと鎌倉ハムは少々やり過ぎか、文章の精度も終盤に近づくほど下降している。書きながら乱歩自身がうんざりしているのがよく分かる。
2019/06/30
ころこ
盲人には不可能な行動を次々に行わせることにより超越性を与え過ぎました。「この物語には探偵も警官も登場はしない。盲獣は最後まで巧みにその筋の網の目を逃れて逮捕されることがなかったからである。では、悪人亡びず、かくまでの悪行が何の天罰も受けずして終わったかと云うと、むろんそんな筈はない。かれ盲獣は亡びたのだ。」これは最後の方の文章です。トリックも描けていない。物理的、社会的な制約も掛けていない。対抗する規範的な権力も無い。どんなジャンルの作品かが曖昧になり、どうやって終わらせて良いのか作者が困っています。作者
2020/11/14
まさ☆( ^ω^ )♬
昭和6~7年の作品。こんな時代に、こんな変態小説が発表できたんですね。春陽堂の江戸川乱歩文庫、途中で読むのを中断していたのですが、夏になると乱歩や横溝正史が読みたくなり読書再開です。下手なホラーより数倍怖い。 本作は、乱歩作品の中でも群を抜くエログロ・変態小説でしょう。乱歩ワールドを堪能しました。
2023/08/02
め
映画化されているのを知った。あの部屋と、最後の作品の造詣は、乱歩の文を読んで読者個々の頭に出来上がったイメージを大事にしたい。映画を見る前に読んでよかった。
2024/03/20
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2019年2月25日初版第1刷発行(文庫979円、Kindle版297円) めくらという言葉がこれでもかと出てくる。時代ですな。 盲人の犯罪が誰にも見られずに成し遂げられるのだろうか、と思ってしまう。 誰か見てるやろ。
2024/02/17
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