猟奇の果 (江戸川乱歩文庫)
猟奇の果 (江戸川乱歩文庫) / 感想・レビュー
いたろう
同じ顔かたちの人間が巻き起こす、奇々怪々の物語。男女の怪しい場面があるので、子供向けではない。前篇と後篇に分かれているが、後篇になっていきなり明智小五郎が登場。にも関わらず、後篇は、何だか話がグダグダになっていて、展開にちょっと無理がある感じ。最後に乱歩の言い訳(?)がついていて、雑誌連載で「月々の心変わり、筋の運びの冗漫」があり、編集者の注文で、後から明智を出したということ。本当は、長い後篇はなく、前篇の後、程なく終わりのはずだったということで、本来の結末(?)も追記されているが。こちらの方が良かった。
2023/09/19
karatte
高校の頃読んだ気がして、再読しながら内容を思い出そうとしてもちっとも思い出せず、程なく『影男』と勘違いしていたことに気づくのだがそれはまた別の話。前篇と後篇で全くテイストが違うのは著者曰く「編輯者の注文」によるもので、無理矢理明智探偵を押し込んだばっかりに良く言えば怪作、悪く言わずともチグハグな印象の目立つ残念な仕上がりに。後年記された「もうひとつの結末」がやはり著者の本意に沿うもので、となると後篇は明智シリーズの世界線で続きが書かれたifものと割り切って、広い心で修正後の世界を楽しむのが妥当か。
2023/04/30
uenos
【青空文庫】瓜二つの人間が登場し主人公が混乱する。なんか面白くないなと思いつつ読んでいた。調べたら明智小五郎シリーズだとわかり我慢して読むことにした。後編から明智が登場したが、辻褄が合わないような感じがして違和感を覚えた。あとがき(なかがき?)を読むと編集者の注文で明智小五郎を無理やり登場させたらしい。更に続く「もうひとつの結末」で、なんとなくスッキリした。
2022/06/05
hirayama46
雑誌に連載したはいいものの、なかなかうまいこといかずに紆余曲折した結果、前後半でガラッと作風が変わる異色作。前半はドッペルゲンガーをホラー・怪奇的な調理でじっくり見せ、後半は国家規模の陰謀が繰り広げられるジェットコースター的なスピードの冒険小説に。面白いは面白いのですが、本人も意に沿わなかっただけあり、出来としてはやはりあまり良いとは言えないでしょう。楽しめる失敗作ではあったと思います。
2021/09/07
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