残酷な遊戯・花妖
残酷な遊戯・花妖 / 感想・レビュー
上品過ぎて僧侶のような寺
先日、坂口安吾の未発表小説の原稿が発見された。それがこの『残酷な遊戯』なのだが、実はこの小説は本当は無題なのだ。実は安吾は書き終わってから題を付けるそうで、要するにこの原稿は書きかけ(未完)なのである。そして驚くのは、本書に収録された小説(一部戯曲あり)の全てが未完の、1冊丸ごと書きかけ作品集なのである。ラストが表題作のひとつ『花妖』なのだが、これは青空文庫にも出ていないので、未発表同様に買う価値がある(未完だが)。ただ、ここに収録されている作品はシンクロしており、『花妖』で結実と見れる(未完だが)。
2021/02/12
Hong Kong @新潮部2024
残酷な遊戯のみ耳読。未完と書かれていたのに、あまり気にせず、庭仕事。次第に引き込まれていって、、、。あああ、なぞなぞブック。
2022/01/13
柊渚
「昔、私、このお部屋に住む夢を見てゐたのだわ。今日一日だけ、昔の夢に生きさせて」 愛する男への復讐に心を燃やす雪子。その無垢で残忍、妖艶な姿に酔いしれる。理知とは狂気のようであり、気品とは媚態のような。未完であることが口惜しいほど面白かった😭 好きな人に首を締められ朦朧とする意識の中、苦悶や絶望とともにどうしようもなく快感を感じ取ってしまうのかなり性癖だったのですが…好きだったのですが……🥺あと安吾の読点が多くて息切れしたような文章も心に迫ってくるものがあってやっぱり好きだなあ。
2021/06/21
ハルト
読了:◎ 坂口安吾の未完小説集。「小さな部屋」「山麓」以外は全て未完。そして完成作品と「麓」以外には、『雪子』という妖婦が出てくる。「残酷な遊戯」の、ピストルで妹に殺された姉がすなわち雪子のことである。一人のだらしのない男に惚れてしまい、精神を崩してしまう雪子。そんな雪子の鬼気迫るさまを書いてあるが、未完なので、物語がどのような結末をつけたのかは謎のまま。本書の約半分のページを使う「花妖」もまた雪子が狂気を匂わせながら、愛に彷徨している。完成作が読みたかったな。
2021/03/28
水生
作品がいくつか収録されてるが名前が同じ人物がまたがって出てくるし話もどこか似ていて関連を感じさせるものとなっている。そのせいか通して読むと何か不思議な気分になってくるが話ごとの違いを味わうのも中々味わい深い。仕方のないこととはいえ未完の話は読み終わったあと少し寂しい。
2021/03/13
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