源氏物語の楽しみかた (祥伝社新書)
源氏物語の楽しみかた (祥伝社新書) / 感想・レビュー
彼岸花
源氏物語を面白く読むためのヒントとして、手に取った本。『あさきゆめみし』は、素晴らしい作品だった。紫上、明石の君、浮舟が、今も鮮明に頭に浮かんでくる。主人公、光源氏の恋愛小説であるが、取り巻く姫君たちの生き方も、あでやかに描かれている。物語の要旨や、楽しさが味わえる読み方がまとめられており、分かりやすかった。著者の『謹訳 源氏物語』へと誘導されて終了となる。最も光源氏に愛されながら、最も苦悩した紫上。幸福か否か、本当に救済されたのだろうか。彼女を軸とし、そういった観点から読み進めたいと思う。
2021/06/10
Aminadab
(『枕』感想から続く)林望の訳文は少々くどいくらい補足説明が折りこんであるがなるほどよくわかる。(源氏が紫上に)「せめて見隠したまふ御まじりこそ、わづらわしけれ」。訳「ははは、そのね、(明石の御方から私への来信を)必死に見て見ぬふりをしている目つき、なんだか妙な按配だね」。この訳文と原文を見比べて『枕』から『源氏』の最後まで読んでみたら、各センテンスの主語が誰かは今もって全然わからないけれど、その先は訳文を見なくても何だか意味がとれるようになってきたよ。「らうたげ(ほっておけない)」がどうやらキーワード。
2024/09/09
きゃれら
「謹訳源氏物語」の訳者自身による源氏物語解説本。シリーズ11巻目と言っていい。本編のポイントとなるシーンでは、原文と訳文の対照をしてくれている。原文を声を出して読むと気持ちがいい。解説の内容も精読を繰り返した筆者らしく、男のわがまま、女の思いを丁寧に掬い取りつつ、全体での位置づけ、作者の恐ろしいまで巧妙な企み・仕掛けなどきっちり教えてくれていて、まだ読了したばかりなのに、すぐに再読したくなった。今度は角田源氏かなあ。
2024/05/06
おとん707
いま林望訳の謹訳源氏物語を読んでいて第33帖「藤裏葉」まで読んだ。物語のほぼ半ば。ここで本書を手に取った。未読部分のネタバレはあったものの、謹訳の訳者本人の源氏物語の見方が分かって大変参考になった。特に北の方葵上亡き後実質的に源氏の正妻の地位にあった紫上を第二の主人公として紫上の立場から源氏が愛した女性たちを見てみると紫式部がいかに周到に物語を作っているかがよくわかるという。これから先を読んでいくうえで理解を深める手助けとなりそうだ。それにしても千年も前にここまで緻密で奥深い物語があったとは驚きだ。
2022/12/04
はるま
初読作家 国文学者としてもご活躍とのこと さらには、『謹訳 源氏物語』全10巻をも刊行されているかたがお書きになる本作のタイトルは掛け値なく素晴らしい 僕自身これまでほんの少しだけ源氏物語を拾い読みしてたんだけど、本作は新たなる魅力を味わうことができた。実に研究者らしくもあり、それでいて学術的な言い回しではなく、初心者にも (基本路線の知識はあった方がいいけど)わかりやすく実に深い洞察の中からの解説だね 著者が書いた謹訳とは謹厳実直な訳とのことで、いつか機会があればぜひ読んでみたい 光源氏に憧れる僕でした
2021/07/12
感想・レビューをもっと見る