古代ポンペイの日常生活 「落書き」でよみがえるローマ人 (祥伝社新書)
古代ポンペイの日常生活 「落書き」でよみがえるローマ人 (祥伝社新書) / 感想・レビュー
へくとぱすかる
ポンペイ展を見て、すごく印象に残った勢いで買った。展覧会にも「落書き」の遺品があったが、図録と両方で、相当な程度、古代の人々の生活にふれることができると思う。それにしても、古代は小文字も筆記体もないはずで、ふつうのアルファベットだけなのに、この読みにくさは何だろう。しかしだからこそ気軽に書きちらした言葉だったと言えるかもしれない。古代において、識字率とは何を意味するか、文字とは結局何なのかという問題にもふれていると思う。なるほど「表音文字」か。今と考えていることは同じだと思う反面、さすがに古代と思う面も。
2022/06/19
yyrn
2千年前の8月24日、噴火により一夜にして厚さ6mの火山灰に埋もれた古代ローマの都市ポンペイ。風光明媚なナポリ湾に面した土地で別荘も多く、様々な階級の暮らしぶりが当時のまま残され、特に市中いたるところの壁に残された掲示文や落書きから色々なことが分かると教えてくれる本。選挙の公約や推薦文だったり、剣闘士の戦いに熱狂する檄文だったり、男女の仲に関する艶文だったり、人間の思考は2千年前とあまり変わっていないことが分かる本でもあった。初版は1996年で、その後の発掘成果が加えられて再々販されたもの。売春宿での⇒
2022/10/14
Aminadab
長らく書架にあった中公新書『ポンペイ・グラフィティ』(1996年)を読んだのだが、本書はその後別の書名で講談社単行本、同学術文庫、本新書が4度目のお勤め。この内容でこれだけ読ませるのは大した手腕で、第5章のエロ落書きがなければ高校生に読ませる世界史入門書に指定したいくらい。火山灰に埋もれて奇跡的に後世に伝わったそれぞれ1行か2行の落書きのテキスト(訳にも工夫あり)を手がかりに、帝政初期の一植民市の選挙政治や見世物興行(有力市民が私財をなげうって行う)などと現代とは異質な社会が活写される。もちろん読むべし。
2022/07/18
ふう
巻末の対談でヤマザキマリさんが指摘した通り、イタリアでは落書きがそこらじゅうにあって、乏しい体験から言うと、南ほどひどい。(と書いて、ひどいという価値判断は一面的な見方だなあ、と嘆息)しかしその落書きから垣間見えるポンペイの人々の生活の猥雑さが楽しい。選挙も剣闘も売春宿の落書きも、生身の人間の姿を捉えて興味深い。ポンペイ展の機会にさっくりと入門書が読めて良かった。
2022/08/06
naka
古代ポンペイの街に残された落書きから当時の様子を類推している本です。選挙の応援や、剣闘士に関するものから字の練習をしているものなどあり、当時の人たちの生活が窺え、今ならSNSにあるような落書きもあり面白いです。
2024/01/06
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