謹訳 源氏物語 三 改訂新修 (祥伝社文庫)
謹訳 源氏物語 三 改訂新修 (祥伝社文庫) / 感想・レビュー
SOHSA
《購入本》須磨から松風まで(光源氏26歳から31歳)。須磨へ下った源氏の明石での新たな恋とその後の顛末、やがて赦されての帰京等々。平安の世の恋愛小説である源氏物語は学生時代に習った古文の影響もあって、一見、現代の私たちにはあまりにかけ離れた実感のないもののように感じられるが、林望先生の源氏物語は人々の息遣いがいきいきとリアルに感じられる。それでいて安易に流れず、原文を正確に読み手に伝えている。まさに傑作。時間のある午後にゆるりと少しずつページをめくる。時折吹く風の香りが季節の移ろいを感じさせる。
2022/05/17
たかしくん。
京での、華やかで、全てが追い風だった源氏も、遂に女が過ぎて、須磨・明石へ。当然の裁きでしょう、なんて思いながら、いつも私は、このあたりから読むスピードがガクンと落ちるところ(笑)。尤も、明石でまた一人姫を作ってしまうのも、やはりまたまた源氏さま。謹慎が解け、京に戻るも、これまえの様々な女性をメンテしつつ、物語自体は、ちょっと平坦な流れになります。そして、決してお美しくもなく、ちょっと面倒な末摘花が、本巻後半の意外な主役かもです!
2020/07/14
てらこ
須磨から松風まで。朧月夜との密会が露呈したことで立場が悪化し、須磨に退隠した源氏。でもあまり反省の色が見えない。ちゃっかり子ども作ってるし… 源氏はどこまでいっても源氏なのですね。帰京も思ったより早い。もっと地獄見てほしかった気もするけど、これから源氏が子どもたちの親として、また後見として、宮中での権力を巡る駆け引きをどう展開していくか楽しみです。
2019/12/27
おとん707
須磨から松風までを収録。源氏の追放から復帰へと話は急下降してから急上昇し俄然面白くなってきた。なかでも澪標の帖の、死を前にした六条御息所に源氏が御息所の娘の世話は自分が後ろ盾になるからと申し入れるも、どうせまた悪い癖で手を出すのだろうとスケベ心を見抜かれる場面には笑ってしまう。また蓬生の帖の末摘花が不遇に耐え忍ぶ姿には心打たれる。そして復帰した源氏が今や朽ち果てた常陸宮邸の脇を偶然通った際に懐かしい藤の花の香を嗅いで、かつてここでともに過ごした末摘花を思い出し、車を停め邸内に末摘花を探す場面は印象的だ。
2022/10/25
LUNE MER
人生三度目の須磨・明石越え達成🎉さて、本巻で押さえておきたいのは巻末の鹿島先生による解説文。林望先生の現代語訳について、どの点が凄いのかということについてあーだこーだ個人的に考えていたことが、遙かな高みから理路整然と高尚に解説されており、ははぁぁぁ!!っと平伏したくなる気分。謹訳のどこが素晴らしいのか知りたいという方は、まずこの三巻の解説文を読まれるとよぉぉく分かります。(その上での好みはまた別問題)
2020/02/03
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