謹訳 源氏物語 六 改訂新修 (祥伝社文庫)
謹訳 源氏物語 六 改訂新修 (祥伝社文庫) / 感想・レビュー
きゃれら
ここからは最近入手した文庫で、未読の領域に。歳を取った源氏のいやらしさが全開で、公的面では位人臣を極めたが、落とし穴があることを感じる。表面的なイベントの華やかさと、そこへ参加している人々の暗い感情がなんとも言えない読み応えとなっている。外国の本読みに評価されたのはこういうところなのだろうか。源氏の反省の無さそのものが狂言回しと言えそうだ。柏木への評論はおまいうの嵐。文庫の「改訂新修」は章の中を細かく切った小見出しがそれだと思われるが、ちょっと余計かなあ。わかりやすいけど。
2024/04/24
たかしくん。
6巻目は、若菜(上/下)。源氏の39歳から47歳まで一気に進みます。ニューヒロイン三の宮が登場し、紫上の心中穏やかならない部分も描かれてますが、と同時に彼女の大人の振る舞いと気高さを改めて強調されてます。その紫上も病気勝ちとなり、一方の三の宮も、衛門の督に付け狙われて。。いつも、世の人々の憧れの人物と描かれてきた源氏ですが、そろそろ陰りが見始めてきたようで。まあ、三の宮のお話は、源氏のわが身に振り替えれば、当然の報いかと思いますが。(笑)
2023/06/17
てらこ
第二部に突入、若菜上・若菜下。20年以上源氏と過ごしてきた紫上が、まだ幼い皇女・三の宮に正妻の座を奪われるというまさかの事態に。出自でこうもシビアにランク付けされるって、改めてすごい世界。時代背景が違いすぎて、ここまでほぼ登場人物に共感することなく読んできたけど、紫上は小さい頃から見ているからか、今回は胸が痛い〜平静を装いながらも苦悩する紫上が切ない…。6巻は他にも、久々の物の怪出現、三の宮に恋する柏木の暴走など嵐の展開。間男・柏木の運命やいかに、そして三の宮のお腹の子はどうなるのか?次巻も気になる!
2020/01/14
おとん707
6/10巻目。内容的にはここに頂点があるのかもしれない。源氏も准太上天皇という待遇を受けて人生の頂点。そんななか愛する紫上は病で生死を彷徨う。源氏は紫上に寄り添っている間に正妻の三の宮を柏木に寝取られる。それに気付いた源氏だが自身の継母藤壺との不義も思い出され複雑な心境。だがそれはそれとして源氏は仕返しを始める。柏木と三の宮の密通の場は明確には描かれていないがその瞬間は十分想像できる。男女の関係は普遍の法則。現代小説を読んでいるのではと錯覚する。高校の古文でこういうところを省いて教えても面白くないはずだ。
2022/12/08
LUNE MER
やはり第二部に入ってからの重層的な展開が源氏物語の次元を高めてるように感じる。(家系図的な厳密さは置いといて、)親の世代で起こったことが子供世代、孫世代に波及してかき乱す展開、立場を入れ替えて同じ過ちが跳ね返ってくる反転構造。その中にも描かれる、絶世期の光源氏に及ばない次世代以降の若者たちとの貫禄の違い。若菜っていわゆる春の七草?のことかと思うが、のんびりお粥を食べてられないくらいてんやわんやの若草上下。
2020/02/21
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