象と耳鳴り: 推理小説 (祥伝社文庫 お 13-3)
象と耳鳴り: 推理小説 (祥伝社文庫 お 13-3) / 感想・レビュー
さてさて
物語の世界に入って主人公達の気持ちを共有していく、それが小説の面白さです。そんな中でもミステリーというジャンルは独特な読書の楽しみがあります。主人公と一緒に、そこで起こった謎を一緒に推理していくというその楽しみ。この作品は短編集なので、凝った仕掛けが用意されているとまでは言えません。短いものでは数頁しかないものもあります。しかし、その中には恩田さんらしい雰囲気感に溢れた、その物語の雰囲気を楽しむための工夫が数多くなされていたように思いました。恩田さんはやっぱりミステリーもいいねぇ!、そう感じた作品でした。
2021/04/12
SJW
元裁判官の関根多佳雄とその家族が登場する推理短編集。何気ない風景や状況でも多佳雄が立ち止まり振り返ると事件や物語が輪郭を現してくる。初めは何気ないエッセイかと思ったが、状況を論理立てて推理する展開は徐々に面白くなっていった。様々な探偵小説の評論家は「洗練をきわめた好短編集」とか「贅肉を極限まで削ぎ落とした純正のパズラー(狭義な意味での本格ミステリー)」と評しており、確かにそうかと後付けで納得してしまった。特に「待合室の冒険」の推理の展開、「机上の論理」の推理の説明などは読みいってしまう。
2019/06/14
ダイ@2019.11.2~一時休止
関根家その2。連作短編集。秋は登場せず両親と兄姉なんかがメインに登場。給水塔や机上の空論なんかがイイ。
2015/06/22
NADIA
退官した元判事関根多佳雄氏が伝聞や手紙、ふと耳にした会話などから謎を解明する12編の短編小説。ゆったり流れる時間や、立ち込める花の香り、終わらない夕暮れの雰囲気にどことなく乱歩風の昭和初期の探偵小説を感じた。「廃園」の怪しい雰囲気は「ユージニア」を思い出させてくれた。表題作の「象と耳鳴り」も一見なんでもないのにとてつもない重力感。「往復書簡」は謎解きが明解なので、すっきり読むことができる。
2017/09/06
gonta19
2015/4/18 Amazonより届く。 2016/6/7〜6/14 2年ぶりの恩田作品。 恩田さんには珍しいパズラーの短編集。関根多佳雄を主人公に(あの人だ!)、色々な趣向を凝らした作品はいつもの恩田作品を想定していたので意外であったが、面白かった。他にもこういうのあるのかな。
2016/06/14
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