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軍鶏侍 (祥伝社文庫)

軍鶏侍 (祥伝社文庫)

軍鶏侍 (祥伝社文庫)

作家
野口卓
出版社
祥伝社
発売日
2011-02-05
ISBN
9784396336479
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軍鶏侍 (祥伝社文庫) / 感想・レビュー

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海猫

評判の良さは知っていたが今になって読了。これまでにも文庫書下ろしの時代小説は多く読んできたがこれほど馥郁たる味わいのものは読んだことがない。いや実に素晴らしい。最初の短編は硬さが気になったがあとの方になるにつれ洗練されてゆく。5編どれも話そのものは地味なれどそれぞれに違った趣向があるのは芸を感じるし描写の巧みさみずみずしさには小説を読む喜びがある。今のところ藤沢周平諸作品の影響ははっきりあるが今後作者ならではのオリジナリティももっと出てくるのではないかと思う。大いに気に入ったので続刊もちびち読んでいこう。

2014/04/28

ベルるるる

素晴らしい!!軍鶏の動き、剣で斬り合う心の動き、筆力がすごい。そして物語がまた素晴らしい。5話の短編だけど、どれも短編とは思えない満足感。斬り合わねばならないと思うまでの葛藤、そしてその後の覚悟と落ち着き、読んでいて引き込まれてしまった。主人公もいいけど、下男の権助が圧倒的な存在感。

2018/09/14

藤枝梅安

書き下ろし時代小説の文庫は数多く出ている。60歳代後半の野口さんのこの作品は平成23年初めに発表された。新作「遊び奉行」でこの作家を知ったが、まずはデビュー作の「軍鶏侍」を読む。舞台は南国の園瀬藩。40歳で家督を長男に譲り隠居した岩倉源太夫を主君が「切り札」として重用し、内紛を収めるという物語。藩の道場主となった源太夫に様々な事件が振りかかる。軍鶏の闘いの描写や源太夫と立川彦蔵の斬り合いの場面がリアリティ充分。下男の権助が謎めいた人物で続編も出ているので今後の展開が楽しみ。(コメントに続く)

2012/12/05

onasu

巻末の解説、既読の方のコメント通り、藤沢周平の作品、中でも海坂藩を彷彿とさせる巧作です。  南国の小藩園瀬藩で気ままな隠居暮らしの岩倉源太夫。闘鶏を好み、軍鶏を飼うことからついたあだ名が軍鶏侍。武家社会では欠かせぬ付き合いを厭い、39歳で隠居も、闘鶏の動きから秘剣を会得した剣豪の名は、忘れ去られてはおらず、図らずも、藩の勢力争いに巻き込まれてしまう。  連作短編で、その後は藩主の御下命で道場を開き、つき合い下手としながらも、信義に通じた振る舞い、藩の要所に竹馬の友もあり、清左衛門残日録が思い起こされた。

2013/01/17

タツ フカガワ

岩倉源太夫は闘鶏軍鶏の飼育と釣りが趣味で、付いたあだ名が軍鶏侍。剣は達人の域ながら人付き合いが苦手ということで、早々と39歳で隠居するものの平穏な暮らしはほど遠く、藩内の騒動に関わっていく。当然剣劇が面白い。が、源太夫や下僕の権助の人間的魅力も読みどころでありました。また源太夫が物語の脇に回る「夏の終わり」や「ちと、つらい」は、藤沢周平さんに似た匂いのする作品で、大満足の一冊でした。

2019/02/22

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