未踏峰 (祥伝社文庫)
未踏峰 (祥伝社文庫) / 感想・レビュー
じいじ
二冊目の笹本小説は、大好きな山岳小説です。山で生きる者たちには、人としての尊厳に格差はありません。山男と人生のスタート時に少しばかり躓いてしまった若者三人の物語。三年の特訓でヒマラヤの未踏峰に挑む筋書きに、少々の違和感、無謀さを感じましたが、そんなとるに足りない懸念を吹き飛ばす「感動」がありました。「山は生きて帰ることが真のゴール」と、山男・師匠パウルから教えられた三人の若者たち。読み手の心の垢をぬぐってくれる箇所がいくつもあり、読み終えるのが心惜しい小説でした。
2022/07/13
つねじろう
ええ話やないの。わけありの若い三人がもう一人のわけありの男に出逢い山に魅了され人に魅了されて成長して行く物語。始まったばかりでいきなりびっくりの展開はあったりするもののそれすら彼らにとって苦難を乗り越えるための正に絆作りだったりエネルギーだったり希望だったりするので基本全編ポジティブ。またその話のシーン毎に挟み込まれる山々の美しさやその場所の冷たい清浄な空気や山鳴りや眩しさまで見事に描き出してくれるものだから行けるものなら一緒に行きたくなる。自分探しの旅もたまにはこんな夢ある美しい話であっても悪くはない。
2018/08/03
さおり
一応専門家の端っこの端っこに位置してる人間として、アスペルガーの人が出てくるお話はチェックすることにしています。このお話の中で、アスペルガーの診断を受けてるサヤカは、その特性をきちんと捉えつつとても魅力的な人物として描かれてました。ヒマラヤに登るお話なんですけど、登山をしたことがない(今後も絶対にしない)私にも楽しめる内容でした。初めましての作家さんですが、大満足。いい出会いでした。
2014/12/04
goro@80.7
世間から弾かれてしまった3人が北八ヶ岳の山小屋主人のもとで働くうちに、次の一歩を踏み出して行くそんな清々しい青春小説。主人の意志を継ぐように未踏峰に挑む姿が眩しい。人生の目的は生きる事、それが誰かの幸せに繋がってくれればそれは少し嬉しい事。俺も山を目指すかぁ~。
2016/08/12
papako
うーーーん、楽しめなかった。山岳小説?というより、人の生き直しの物語。ただ、主人公達の設定がうまくこなれていないように思います。アスペルガー症候群、知的障害など盛り込まれているが、深掘りされていなくてうわっ滑りな印象。山部分もあまり臨場感なくてほぼ流し読み。アスペルガー症候群の女の子の料理が『すごい』という記述だけで詳細が描かれないので興ざめ。期待してたのに、ちょっと残念。。。
2015/02/08
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