木暮荘物語 (祥伝社文庫 み 17-1)
木暮荘物語 (祥伝社文庫 み 17-1) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
7つの短篇を収録。これらすべての中核にあるのが、世田谷代田にある木造アパートの木暮荘。巻頭の「シンプリーヘブン」を読んでいる時には、三浦しをん作品の中でも最も通俗的かななどと思っていた。「心身」においてもそれは変わらない。ところが、「柱の実り」あたりから、しをんさんはしだいに暴走しはじめる。「黒い飲み物」では、一層アクセルがかかる。「穴」にいたるも、このスピード感は維持される。「ピース」では、もはや疾駆する勢いだ。そして、とうとう巻末の「嘘の味」にいたって寂しく落着する。その頃には、私たち読者が木暮荘⇒
2024/10/03
さてさて
『小田急線の世田谷代田駅から徒歩五分にある木造二階建ての木暮荘』。大家を含めて三人が暮らす木暮荘に何かしら関係する人々が登場するこの作品。7つの章ごとにそんな彼らに順に視点が切り替わっていく連作短編の形式をとるこの作品。そこに描かれたのは、それぞれが抱える悩み苦しみにしっかりと向き合って生きていこうとする老若男女の『性』と『生』の物語でした。単に軽いだけと見えていた人が背負っていたものの重さに驚き、単に軽薄に見えていた人に隠されていた優しさを知る、一つ屋根の下に息づく人々の生き様を感じた作品でした。
2021/10/17
射手座の天使あきちゃん
しをん様、この小説のテーマはズバリ「愛とつながり」でしょうか? それにしたって「柱の実り」、「穴」は一般人からするとかなりアブノーマルだと思いますが、しをん様の中では「あり」なんですか? <(^_^; いくら家賃が安くても住みたくないかもです(笑) もし万一202号室に入居させられても「のぞき」は絶対しませんよぉー!(笑)
2014/11/09
Yunemo
たて続けに同著者作品を。「並木」氏と「洋平」氏って同類、著者こんなタイプがいいのかな。読み始め早々にまず一撃、最終章でノックアウト、こんな感じですかね!それにしても、よくこれだけ個性的な人物を、個性的なアパートに集めてみたものです。それぞれの性格のままで、今の世の中で生きていられるのが不思議なくらい。異常な世界のはずなのに、それでも違和感がないのは何故なんでしょう。何だか自身も同様に、深層心理的にはこんな生活への憧れなのかもしれません。アパート住人が付き合う周りの方々も、ある意味同類、憧れのメルヘン。
2015/08/16
にいにい
1か月ぶりぐらいの三浦しをんさん。面白い!こんなの好きだな~。木暮荘の住人を中心に展開する人との繋がりの物語(いろんな意味での)。恋人、元彼、不倫、旧友、夫婦、親子、様々な日常に、ちょっと変わった関わりが生まれる。笑いながら、微笑みながら、深く人生を思わさせられる。犯罪も、一歩手前も、超常現象まで絡ませて、人恋しくさせる一冊。並木いいなぁ~。変だけど、愛おしい登場人物満載。光子は、血が繋がらなくてもお母さんになれるといいな。
2014/11/21
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