緋い猫 (祥伝社文庫)
緋い猫 (祥伝社文庫) / 感想・レビュー
モルク
2月25日脳出血にて41歳で生涯を閉じた著者の訃報を知り急遽借りた一冊。昭和24年、ヤクザの娘女子高生の洋子はプロレタリア文学を愛する工員佐久間と出会う。恋仲となるが、仲間の二人が殺され犯人に疑われた佐久間が失踪する。洋子は彼の故郷東北の寒村を訪れる。地主の父と閉鎖的な村人そして東京で彼が飼っていた三毛猫。彼の実家で洋子は…監禁、凌辱、と耐え難い仕打ち。最後のリベンジはスカッとするが…佐久間はどうなった?友人の良美の役割は?疑問は残る。ともかくも志途中で亡くなった浦賀さん、残念だ!合掌
2020/03/16
Tsuyoshi
戦後GHQが統治する東京が舞台。殺人事件の犯人として疑われた共産主義者の恋人・佐久間を追って故郷である東北の農村を訪れたヤクザの娘・洋子。佐久間に会えないばかりか村を出ることも許されず、失明・監禁・凌辱と心身ともに汚してしまう村民達には憤りを覚えた分、父親や手下のヤクザ達の救出、復讐劇は凄惨だったがスカッとした。何だか実話をモチーフにしたような結び方だったが元ネタがあるのだろうか?佐久間の行方とともに気になります。
2018/06/25
ジンベエ親分
ちょっと久々の浦賀和宏。何だこの文章は。背景説明のような「小説」とは思えないような文体で全編ぶち抜く。おまけに悪趣味全開のお話。ああ、確かに「小説」っぽい文体だとこの下劣さ趣味の悪さに耐えられないかもしれん。しかしなぁ、戦後間もなくという時代の田舎で悪逆非道、残虐無道の限りを尽くすようなこのネタは、飴村行の世界ではないか(笑)。ただこのネタを飴村が書いたらこんな程度では済むまい、と思ってしまうのは、やはり格の違いか(笑)。嫌いではないが、「姫君よ、殺戮の海を渡れ」を越えてはいない。人には薦められんけど笑
2017/01/11
眠る山猫屋
価値観が反転する、それはお嬢様な主人公・洋子だけじゃない。最期の最後になって洋子のお父さんがヤクザの親分でホントに良かったネ、って気持ちにさせられてしまう。復讐のカタルシス。そして更に・・・笹田さんの正体が明らかになった瞬間、物語は暗転する・・・。ホラーだったのか。
2018/11/08
momi
昭和20年代のころという時代背景や閉鎖的な村の雰囲気は、良くできていて好きなところなのだけど…。息を呑む衝撃的すぎる結末と言うより、ラストは呆気にとられて終わりでした!17歳の女の子が青年と恋に落ちる。男は殺人事件の犯人と疑われ姿を消す。彼を追って男の故郷の寒村を訪ねると…彼女に悲劇がまちうけていた…!なんて酷い!この村…この男ども…どいつもこいつも最低!許せない!鬼畜ッ…!そんな印象ばかり私の心に残りました…。
2016/11/01
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