感情8号線 (祥伝社文庫)
感情8号線 (祥伝社文庫) / 感想・レビュー
しんたろー
「環八近くに住んでいて畑野さんファンなら読まねば!」と手に取った…6人の女性を主人公にして、思い通りにならない日々が連作短編の形で赤裸々に描かれていた。女性主観なのでオジサンが理解できたかは自信がないが、葛藤や行動がリアルで改めて筆力の高さを感じた。男のダメさや優しさも的確に捉えていて「見破られているんだなぁ」と女性の眼力にチョッと怖ささえ覚えた。馴染み深い千歳船橋の雰囲気も上手く表現されていて嬉しかったが、ハイソな街を取り上げる狙いは判るけど、二子玉川は環八沿いではありませんよ、畑野さん(笑)
2018/11/26
さてさて
東京の中心部をぐるっと囲むかのように走る『環状八号線』。この作品では放射状に張り巡らされた鉄道網を南北に繋いでいく道路で結ばれた六つの街に暮らす六人の主人公たちのさまざまな思いを見る物語が描かれていました。同じ道路沿いなのに随分と異なる景色を見せる街々に注目した畑野智美さんの目の付け所に感心するこの作品。さまざまな思いの中に悩み苦しみながらも日々を精一杯生きる六人の主人公たちの幸せを願いたくなるこの作品。街が道によって繋がり、人が心によって繋がっていくことの意味を改めて考えさせてくれた、そんな作品でした。
2023/09/14
takaC
わざわざ南緯31°辺まで持って来て読むような小説ではないのだと知っていたはずなのに・・・
2018/08/18
アッシュ姉
著者四冊目。恋愛ものかと読むのを躊躇していたが、さすが畑野さん。ただの恋愛小説ではなかった。なんてことのない話、乱暴に言えば所詮小説の中の恋模様でどうでもいい話のはずなのだが、面白くて読む手が止まらない。綺麗事だけじゃない、複雑な感情が渦巻く登場人物が等身大で、それぞれの行方や決断が興味深く目が離せない。あえて短所や欠点にスポットが当たっているので、共感や好感が持てない男女ばかりだが、そこは著者の計算が働いている。誰もが少なからず悩みや不安を抱え、苦しみ葛藤しながら生きていることに一層安堵するのだ。
2018/11/12
あも
緩く繋がった6人の女性の恋愛を順に描く連作短編。怖い。苦しい状況を肯定も否定もできず、愛されたいと叫ぶ自分を心の底に押し込めて笑う。そんな女性達。細部の描写が神がかっている。例えば、恋のライバルを見て「さっきまで結んでたのに髪にゴムの跡はない」と思う所。嫉妬や諸々入り交じる複雑な感情を無駄な台詞や言葉を一切使わず表す。こんな描写のできる人が決して幸せではない恋愛を書いて怖くないわけがない。世界に不倫やDVがどれ程ありふれていようが当人にとっては世界にただ一つの苦しみだ。客観視出来ないほど心を揺さぶられた。
2017/09/13
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