死はすぐそこの影の中 (祥伝社文庫)
死はすぐそこの影の中 (祥伝社文庫) / 感想・レビュー
しんたろー
宇佐美さん制覇までラスト3になって、苦戦した『いきぢごく』以来の読み辛さを味わった…それは主人公・麻衣子に感情移入できなかったのが一番の理由だろう…同情すべき生い立ちがあるにせよ、頑なな性格なのが好きになれない。それでも著者らしい「黒いエンタメ」感で終盤まで楽しませてくれるが、真相が私の嫌いなパターンなのも残念!ミステリでたまに使われる手だが、何でもありになるので私が作家なら禁じ手にする。とは言え、3回ほど捻る工夫も施して、著者なりの苦心&サービス精神も伝わってきたし、今後も期待したい作家さんではある♬
2020/09/23
nobby
いや、これはほぼ予想出来るんじゃないかな…愛媛の山奥のダムに沈んだ村での隠れキリシタンの祟りなど魅力いっぱいの不気味な設定に、ドンドン読める割には何だかスッキリしない展開の冗長を感じる。もう伏線たくさん散りばめられているが、“もしかして”を通り越して“多分”で読んでいたら「ああ、やっぱり」が続けてやって来るみたいな(笑)その回収は丁寧だし上手いんだけど、とにかく優し過ぎる…欲張りな自分はもっと遊びが欲しかった…それでも想像と違わず笑顔で迎えるラストに、人間の怖さがきちんと盛り込まれるのは宇佐美さんらしい!
2019/07/27
美登利
食事をすることも忘れて一気読み。テーマとしては目新しいものではないと思います。昔から似たようなストーリーはあると思うし、読んだこともあると思うのだけど。宇佐美さんのこのどことなく嫌な妖しさを纏った雰囲気の文章は本当に癖になる。ネタバレはしたくないので本筋はツッコミを入れないで書くと、読者は多分早々にもしや?と感じることはあるはずです。そう思いながらももっともっと先へと続きが読みたくなるのは流石です。主人公に憐憫を感じると共にどこか違うんじゃないか?と少し不愉快な思いに囚われることも作者の意図なのかもね。
2017/11/15
おたけஐ೨💕🥒🍅レビューはボチボチと…
82/100点 前半部分は冗長を感じてなかなかページが進みませんでしたが、中盤から段々と面白くなって来て、後半は一気に読めました。ただミステリーとしては、伯父の殺害方法には意外性はありましたが、話しの核となる肝腎の部分を前半のミツルが出て来た時点で気付いてしまい、後は伯母の件も含め思っていた通りの展開であったこともあり、もう一つ楽しめませんでした。山奥の村に纏わる因習に絡むドロドロな部分を、もう少し描いて欲しかったですね。宇佐美さんの長編は初めて読みましたが、自分は短編の方が切れ味が感じられて好みです。
2017/12/25
まこみん
其々の章が「沈める寺」「水の戯れ」「雨だれ」「オンディーヌ」。これは皆、水に纏わるピアノ曲。主人公の麻衣子もピアノ調律師。ダムに沈んだ山奥の村での封印したい記憶、楽しかったほんの一時の幼少の記憶、依頼心ばかりで主体性の無い母親、先祖からの祟りと言われた醜い伯父と良くできた叔母。過去の不穏な描写と今のピアノ調律師としての矜持。麻衣子の隠された秘密と本当に恐ろしい人物の正体。一見、ハッピーエンドに見えるけれど、ゾワゾワ感一杯のラスト。ちょっと騙された感!?はありましたが。
2020/07/18
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