六花落々 (祥伝社文庫)
六花落々 (祥伝社文庫) / 感想・レビュー
優希
雪の結晶について見た世界は美しいだろうと思いました。蘭学と絡めているのも時代を感じさせますね。美しい物語でした。
2022/03/13
ユメ
「何故なに尚七」との異名をとる主人公が雪の形を一心に研究するのは、「識りたい」という純粋な探究心からだ。しかし、尚七を取り立てた鷹見忠常は蘭学を政の道具として利用する。忠常の行動は時に非情にも映るが、読んでいるうちに彼は彼の道を誠実に生きているだけなのだということが腑に落ちる。尚七のような人間と忠常のような人間、両者揃ってこそ学問は発展するのだろう。それでも、大塩平八郎の乱を「愚行」と斬り捨てる忠常より、大塩に寄り添おうとする尚七の方についほんの少し肩入れしてしまうのも、人間の情というものだと思う。
2018/01/19
のびすけ
古河藩の下士・小松尚七は「何故なに尚七」と呼ばれ、雪の結晶の秘密を知りたいと願う。藩主の若君・利位に気に入られた尚七は、利位の御学問相手として雪の結晶の研究をすることに。物語は、雪の研究とは関わりのない当時の社会情勢を背景にした政治の話が続く。間宮林蔵、渡辺崋山、シーボルト、大塩平八郎など実在の人物が多数登場。20年をかけて「雪華図説」が完成するが、尚七の雪の研究の苦労などは全く描かれていない。この作品で描きたかったことはなんだったんだろう?という疑問を抱きつつの読了でした。
2021/08/07
豆乳くま
古河藩の下級武士尚七、何にでも興味を持ち『何故なに尚七』の異名が。雪の結晶に興味を持っていることを買われ若殿様の御学問相手に抜擢され政治の中心を間近で見ることに。幕末に向け動乱や大飢饉が押し寄せ政情も不安定な中雪の結晶の本を出すまでに至るが。身分の低い尚七を側に置きたがる利位と忠常の本心がそれぞれ深くまた蘭学絡みで各方面の有名どころ集結しておりその中で尚七の誠実さが光りさすが西條さん、でとても良かったです。
2018/06/27
DONA
雪の形を記録に取るだけの話では無く、この頃の世情が詳しく描かれた物語でした。主人公の知りたがりな性格も、主人の人柄も、幕末前の動きも全てが魅力的で面白くて次々読み進めました。歴史の勉強でよく聞いていた事柄も詳しくわかって勉強にもなりました。
2018/04/09
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