匿名者のためのスピカ (祥伝社文庫)
匿名者のためのスピカ (祥伝社文庫) / 感想・レビュー
三代目 びあだいまおう
冒頭、後ろ手に縛られ監禁されている女性が、怯えを抱きつつもわりに親しげに監禁犯人と話をしている。監禁という凶悪犯罪に対する違和感がよぎる。本編、抜群の記憶力を持ちながら人の感情の襞には鈍感な法科大学院生(女性経験無)が主人公として現れ、やがて1人の陰ある女性に好意を持つ。その女性が実は高校生の時監禁されていた冒頭の女性。当時の犯人らしき人物に再度拉致され(?)行方不明に!彼女の行方を親友と探す主人公。環境と抑圧とその時傍にいる人間により想像外の感情を抱く我ら人間。疾走感あるチャレンジングな島本作品‼️🙇
2020/03/08
りゅう☆
付き合い始めた恋人景織子は高2の時、交際相手に監禁された過去がある。ある日、景織子がその元恋人高橋と一緒に笠井の目の前で星を見に行くと言って車で去ってしまった。景織子の弟は頭を金槌で殴られ重傷。信じられない光景を目の前に、景織子を連れ戻すため石垣島→波照間島まで友人七澤と追う。笠井が就職先を辞めた過去や、七澤が叔父の所に居候してる理由など少しずつ内面に触れていくも、笠井の記憶力のスゴさもだから何?って感じで中途半端感が拭えず。七澤&笠井→ホームズ&ワトスン関係なんだろうけど、七澤が意味深な言葉を述べるも→
2020/09/01
bunmei
直木賞作家・島本理生が贈る恋愛サスペンス。著者が描く恋愛小説は、登場人物達がそれぞれに暗い影を背負う中で、結果的に成就できない破滅的な恋愛に向かう展開が多いな・・・なんて思います。笠井も景織子も、過去のトラウマを抱える中で、次への一歩がなかなか踏み出せない弱さや脆さを持ち合わせ、そこに、七澤の冷静さの中に秘める危うさも加わり、出口の見えない感じです。危険な要素を持つ元彼に、それでも期待してしまう景織子の、あまりにも痛々しい現実逃避。笠原の真っ直ぐで素朴な恋心では、景織子は満たされないのかな・・・。
2018/07/25
さおり
文庫にて再読。前に読んだときにはとても良かったと思うのだけれど、今回はピンとこないという、不思議。私、けっこうあるのよね。あんまりやったんが再読したらすげーいい!っていう方もあるけど。体調だか気分だか知らんが、どんな本を読むんでも自分の心との調整が一番難関だったりして。さて。この本、まともな人が出てこない気がするんだけど、考えてみたら島本さんの本にはいつも、まともな人は出てきません、まだそんなにたくさん読んでないけど。恋愛と依存の違いは何か。加害者と被害者の境い目はどこか。私にはたぶん一生わからないや。
2019/02/05
さぜん
法科大学院生の笠井は女性経験もなく人の気持ちには愚鈍だが数字に強く 正義感のある真っ直ぐな男。そんな彼と親しくなった景織子。元彼に監禁された過去を持ち、家族間に問題を抱えている。島本さんの描く女性は嫌な奴が多いけど今回も酷いな。無意識に計算する女ほどタチが悪い。殺人事件にまで発展するのにシリアスさが全く感じられずサスペンスとは言いがたい。 ラストはBLの雰囲気漂い、いつもの島本作品とは毛色が違いそこは面白く感じた。
2019/02/27
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