ソロ ローツェ南壁 (祥伝社文庫)
ソロ ローツェ南壁 (祥伝社文庫) / 感想・レビュー
ナルピーチ
希望は与えられるものではなく、自らの力で切り拓くものだ─若きクライマー“奈良原和志”を通して魅せる本格山岳小説。美しくも荘厳な世界であるヒマラヤ山脈。雲上に居並ぶ姿はまさにヒマラヤの巨人たち。それらが鎮座する8000メートルという途方もない世界に圧倒された。登山はスポーツではなく一歩間違えれば生死が伴う危険な冒険。未踏の地を目指す飽くなき探究心、全身全霊を懸けて挑む登攀。それこそがアルピニストとしての矜持。もの凄い臨場感と読後の高揚感が冬山の過酷さをリアルに伝える。山岳小説の金字塔と呼ぶに相応しい一冊!
2023/02/05
サンダーバード@永遠の若者協会・怪鳥
新鋭のアルピニスト奈良原が挑むのはヒマラヤでも難関とされるローツェ南壁。しかも冬季無酸素単独での挑戦、このチャレンジは疑惑の登頂とされるトモ・チェセンのルートでもある。8000mと言う高度、標高差3000mを超える絶壁。日本アルプスの尾根歩きしか知らない私には想像もつかない世界だ。登山とは、アルピニズムとは何かを問う作品。★★★★
2020/07/12
タイ子
ヒマラヤ山脈の一つローツェを単独登攀目指す一人の登山家奈良原和志。ソロ登攀を中心にやってきたが、先輩の磯村に誘われ登山用具の会社と契約を結び磯村とも一緒に登攀をしたことで、人は一人では生きられないことを改めて知る。だが、彼の目指すローツェはあくまでソロ登攀。そこにはかつてソロ登攀したものの疑惑の登頂とされていた尊敬する登山家の汚名を晴らす思いがあった。ヒマラヤ山脈の朝日に輝く壮麗さ、夜空に煌めく星々の美しさ。読みながら想像するその光景は何分の一にも満たないだろうが、極寒の登攀恐怖感は十二分に伝わる。
2020/09/17
つねじろう
この作者と一緒に幾つの山を登っただろう。今回はローツェ南壁。世界第四位って言われてもピンと来ないけど馬鹿にしてはいけないその南壁は標高差3200mの大岩壁。ええっと富士山が3776mだからそのぉ..とにかく凄いらしい。その世界最難関を無酸素単独で登ろうとするのだから無鉄砲極まりない。単独にこだわり頑なになりかける主人公に寄り添うサブキャラや敵役の配置も見事で登山史のイフにも挑戦し「お前は登る事だけに集中しろ」と言いながら読み手は色んな事にハラハラしないといけない。山だけでない沢山の魅力の詰まった作品です。
2020/05/16
大阪魂
「神々の山嶺」も凄かったけど、さすが山岳小説といえばの笹本さん、高所登山の今と奥深さをこれでもかって書いてはってむっちゃ面白く一気読みやった!知る人ぞ知るって登山家・奈良原和志が主人公。憧れの登山家トモ・チェセンの疑惑をはらすべく、世界第4峰ヒマラヤ屈指の難壁・ローツェ南壁、それも冬季無酸素単独登頂に、先輩登山家・磯村、登山グッズ会社ノースリッジの友梨や山際社長とタッグ組んで挑戦!卑劣な登山家マルク・ブラン絡みのサスペンス、仲間との熱いつながり、最新技術開発の凄さなんかも感動やった!シリーズ続きも楽しみ!
2023/01/19
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