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ひと (祥伝社文庫)

ひと (祥伝社文庫)

ひと (祥伝社文庫)

作家
小野寺史宜
出版社
祥伝社
発売日
2021-04-16
ISBN
9784396347185
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ひと (祥伝社文庫) / 感想・レビュー

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しんごろ

二十歳で天涯孤独は辛いと思う。聖輔の性格なら尚更だ。根は優しいのだろうけど、どこか優柔不断っぽくて流されやすい。一人で抱え込むし、どこか頼りないし、たぶん一緒にいたらイライラするかもしれないかな。でも、聖輔の本質は、きっとよく考えて、ここぞの時の判断は間違わないのだろうと思った。そんな清助だからこそ、周りがほっとけなくて、素敵な縁ができたのだろう。聖輔の周りの人はいい人ばかり。それは聖輔がしっかり徳を積んだから。何かあったら俺に頼れと言える頼れる側の人になりたいと思った。温かさが滲み出る物語だった。

2022/09/18

mae.dat

コロッケの様にホクホクで、メンチカツの様に滋味に美味い。そんなお話かなぁ。派手さは無い。道徳心や倫理観の感度が同じ位。そこ迄大仰な事で無くても、ささやかな心遣いとか、踏み込んでは行けないラインとか、そう言った感覚が一緒だと居心地が良さそうですね。ちょっとした喜びとか。そうで無いと疲れちゃうね。両親を失った柏木くんの成長物語。お金には困窮気味だけど、芯が強くて、現実を見据えて一歩一歩確実に進んで行くよね。そんな柏木くんを応援したくなるし、周りからも応援を受けるよね。恩を受けっぱなしでも無い距離感も良い。

2024/03/22

ひさか

2018年9月祥伝社刊。書き下ろし。2021年4月祥伝社文庫化。小野寺さんの他の作品にもある、会話や考える時のテンポが絶妙。そのテンポの良さに乗って展開する出来事は心に響き、強く印象に残ります。このお話の先、誠輔はどうなるのかというのがちょっと気になります。

2022/02/20

Kanonlicht

両親を亡くし、通っていた大学も辞め、故郷の鳥取から遠く離れた東京で天涯孤独の身となった主人公。取り巻く人たちの中には、助けてくれる優しい人が大勢いて、できれば関わり合いたくない人も少しだけいて、いい人なのか悪い人なのか判断つかない人も一定数いる。一人の人間関係の中に世の中の縮図を見るようだ。優しい人を周りに集めたいと思ったら、彼のように誠実に生きればいい、そんなことを教えてくれた気がして、タイトルの「ひと」に深い意味が込められていると感じた。

2021/11/30

venturingbeyond

地元書店で平積みになっていたこの本を手に取り、冒頭を読んだところ、主人公の柏木くんが鳥取出身との設定に、県民としては読まざるをえないと即購入。作品についても作者についても、まったく予備知識のないまま読み始めたのですが、ウェルメイドないい小説でした。柏木くんの立ち居振舞いから滲み出る人間性が、彼と関わる周囲の人たちの交流のエピソードの中で次第に明瞭な輪郭を描くようになり、これと呼応するように、周囲の人たちの本質的な暖かさや隣人愛が重ねて描かれていく。心地よい読後感の一冊でした。

2021/09/26

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