房総グランオテル (祥伝社文庫)
房総グランオテル (祥伝社文庫) / 感想・レビュー
5 よういち
千葉県・外房の月ヶ浦にある民宿・房総グランオテルを舞台にした物語。月が浦は架空の町であるが、たぶん外房線の御宿辺りじゃないかな。実在する地名も出てくる。◆房総グランオテルの看板娘・高校2年生の藤平夏海を中心に、父、母、従姉妹の美少女・ハルカと訳ありの宿泊客3人が絡んでのハートフルなお話。物語はのっけからなんとも物騒な場面から入っていくが、全体としてはコメディータッチ。看板娘・夏海の底抜けな明るさが華やかさで心地良い。他の登場人物もなかなかの個性で、盛り上げてくれる。続編があってもいいんじゃないかなぁ。
2021/09/14
dr2006
これは痛快!面白かった⤴流石、映画化作品に実績がある越谷さんだ。活字を読んでいるのを忘れるほど、登場人物たちが映像となって動き出し、舞台となる外房の景色も目に浮かんでくるから不思議だ。家族経営の小さな民宿「房総グランオテル」に偶然宿泊し居合わせた人々を巡る奇跡のドラマだ。世間から忘れられた一発屋歌手の菅沼欣二、パワハラに苦しみ逃避行中の佐藤舞衣子、近くの駅で偶然撮れた美少女を追うカメラ小僧田中達郎、そして看板娘高2の夏海と従姉妹の美少女ハルカ。思い違いとユーモラスでネガティブ考をぶっ飛ばせ!お薦めの一冊。
2024/04/23
エドワード
房総半島。明るい空と海、いい所だよね。高校生・夏海と両親とが営む民宿ふじひら荘をリフォームした房総グランオテル。従妹の美少女ハルカが宿へ遊びに来る日、怪しい三人の客が宿泊する。佐藤舞衣子(出版社勤務、パワハラで疲労困憊)、菅沼欣二(忘れられた往年のスター)、田中達郎(鉄道写真おたく)。各々深刻な悩みを抱える三人が、夏海たちと交流する中で起きる事件。二日の間に起きる出来事が、それこそ推理小説のごとく綿密に関わりあって進む様が見事だ。冒頭で登場するピストルが、どのようにハッピーエンドにつながるか、お楽しみ。
2021/12/12
げんごろう
季節はずれの房総の民宿に集うワケありな宿泊客達。 少しの勘違いが交差し繰り広げられるドタバタ劇が面白く、スピーディな展開も相まってあっという間に読み終わりました。 観光ホテルも良いけど、こんなアットホームな民宿にも泊まってみたい。 温かくて素敵な作品でした!
2021/12/20
だまし売りNo
会社員の宿泊客はパワハラで苦しんでいる。メールで連絡したにもかかわらず、メールを読んでいない相手から「どうなっているのか」と迷惑な電話が来る。メールで連絡したと指摘すると、メールだけでは不十分と逆切れされる(153頁)。昭和の対面コミュニケーション至上主義に毒された典型的な無能公務員体質の甘えである。会社員は怒って「言った言わないの水掛け論に付き合う気はないですから」と言い放ち、電話を切る(155頁)。これは痛快である。会社員も元気になってフルーツパフェを追加で注文した(156頁)。
2021/08/16
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