ヘンな日本美術史
ヘンな日本美術史 / 感想・レビュー
tama
図書館本 少し前に出版された本なのに、予約した時は二番手だった。なかなか面白かった。白描画というのは「白を表現したかったら紙の白を残すしかない」。当り前だがやっぱり「はっ」とする。変なねじれ方をする背骨とか、正面から見た「目」をした横顔とか、岩佐又兵衛の首の付け根が変なところにある顔とか。TVで見た海洋堂原型師が言ってた「ルパンの動きをフィギュアにしようとすると解剖学的に無理なところに肩がなきゃいけない」と同じ発想なんだね。この本のもう一つの大きな面白ポイントは表紙の画家たち。北斎と応挙しか判らなかった。
2015/06/16
風眠
確かに、言われてみればヘンなところが沢山あるなぁ…、けれど、それが当時の日本人の物の捉え方だったり、価値観だったりしたのだから、現代の私達から見たら、突っ込みどころ満載の絵になっているのは当たり前だなと、とても興味深く読んだ。明治期に、美術という概念が輸入されてきて、「自転車に乗ることを習得した人がもう二度と、乗れない時には戻れないように、乗れないことが出来なくなった状態で、ただ絵具が日本画用の絵具を使ってるだけで、絵は西洋画のようになってしまってる」という部分が印象的。日本画に詳しくなくても楽しい一冊。
2013/08/11
R
日本美術の特に絵画に特化した歴史を紹介した本でした。鳥獣戯画から始まり、日本で育まれた画法の解説と、西洋画の技法を取り入れようとして四苦八苦した歴史などを紹介しつつ、日本で育まれた美術についての紹介でした。特に雪舟の成したことに関する解説は白眉で、意識していなかった日本における美術の萌芽が見られるようで楽しく読めました。
2018/01/15
コットン
気になる画家:山口晃による日本美術史考。派生物と元のものについて派生物の「生まれたてのひ弱なそれを、よってたかって「大したもの」にしてやるのが文化です。その力が尊いのです。」に感銘。「紙本は黒が重要で絹本は白が重要」とか「金箔の屏風は美術館では、しゃがんで見るのが一番」などなるほどと思う。そしてデッサンとは違う写実の形として紹介されている『彦根屏風』の人物のフォルムがいい!
2015/11/25
ハイランド
今まで聞き慣れない、見慣れない日本の美術を見事に解説して、今まで知らなかった日本美術史を浮かび上がらせる筆者の技量はたいしたものです。さすが現役の絵師だけに画家の気持ちがよくわかっている。この本に載っている画はみんな観たいという気にさせるけど、特に洛中洛外図高津本はいつか機会をみつけて、是非観てみたくなりました。
2014/04/21
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