御師(おんし) 弥五郎―お伊勢参り道中記
御師(おんし) 弥五郎―お伊勢参り道中記 / 感想・レビュー
papako
お伊勢参りをプロデュースする御師のお話。実は何冊かお伊勢参りの本を読んだことがあったはずなんですが、御師についての詳しいことは初めて知った気がします。太夫なんて役職があったんですね。謎の江戸の材木商の巽屋清兵衛が伊勢に参る道中と御師弥五郎の事情が絡んで、ラストは御師の『いっとう大事な務め』につながる。清兵衛の娘お千代とわんこのブチ、亀太やお世など魅力的な脇役もたくさんで楽しかったです。第一話の旅立ちの富助、ちゃんと代参りできたのかしら。それだけ気になる。お伊勢参り、したくなりました。歩いて行ってみたい!
2020/03/08
ちはや@灯れ松明の火
旅は道連れ世は情け、けれど情けだけでは成り立たぬのが世の道理。信仰心と物見遊山が並び立つ庶民の憧れ伊勢詣にも商いの顔があるように、情の裏には理がある。江戸を発ち東海道を西へ西へ、呑気な伊勢講御一行に紛れ込んだ仔細ありげな商人と案内役兼用心棒の御師、訳あり彼等を待ち受ける刺客あり盗人あり陰謀ありの多事多難。そして、人にも裏があり、憂き世を忘れる太平楽な旅路の陰にも拭いきれぬ生きることへの悲哀が滲む。けれど、人は情を信じ、夢を見、生きていく望みを持とうとし、ささやかな願いの果てでお伊勢さまは輝いている。
2011/03/10
kazu@十五夜読書会
お伊勢参りの案内役、『御師』の手代見習弥五郎のお伊勢参り道中記長編。ある日、弥五郎は日本橋の材木商・巽屋清兵衛が賊に襲われているところを助ける。それが縁で、清兵衛のお伊勢参りに付き合う羽目に、手代頭惣七の手配で伊勢講の蛙講一団と、旅の道連れは妙に婀娜っぽいお妾さんお世や口やかましい下っ引き亀太など、たいそう賑やかな面々。道中の名物や景色もまた格別。だが、行く先々でなぜか清兵衛が狙われ、弥五郎自身にも伊勢を訪れたくない理由があって…。垂れ耳の大きな犬を傍らにした若い娘が、一行の後をつけて……。⇒
2013/06/18
ゆみねこ
江戸時代、お伊勢参りに出かけることは、現代の人間からみたら至難の業。元武家の出でありながら下命により材木商になった巽屋清兵衛が、御師弥五郎の助けを受けながらお伊勢参りと旧主を尋ねる旅の顛末記。西條さんの作品は安定の面白さ。
2014/02/20
紫 綺
御師の役目とは「人に生きる望みを持たせる―。」それこそが何より大事な務め。西條作品は益々磨きがかかり、完成度を増している。江戸の世の様々な慣習や職業などが、丁寧に解りやすく綴られていて感動もひとしおだった。西條作品読了!!早々に次の作品求む!!
2011/01/10
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