民宿雪国
民宿雪国 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
樋口毅宏は初読。帯の「梁石日絶賛の問題作!」に魅かれて読んだ。小説としてのリアリティの欠如が最大の欠点だろう。それを埋めるために、仮名にしてホテル・ニュージャパンの横井英樹やオウムの松本智津夫被告を登場させるのは感心しない。しかも、本編の主人公、丹生雄武郎との接点を「在日」に求めるのはさらに感心しない。梁石日は、これをどう読んだのだろう。また、後半の丹生雄武郎の3つの異なる伝記も小説の手法として成功しているとは言い難い。しばらくぶりに酷評とも言えるレビューになったが、大いに楽しめる読者も少なくないだろう。
2016/01/15
相田うえお
★★★☆☆ 初読み作家さん。更に、こういったタイプの作品は初めて。樋口先生はどうしてこの様な表現方法で書いたのか疑問など興味が優先し、次はどんなパターンで書いてくれるのかの期待からどんどん読み進められました。まあまあ楽しめたかな。いや〜作品タイトルから国境の長いトンネルを抜ける雪国だった...をイメージしてしまいますよね。本人がいたらどう思ったかな〜。まあ、民宿の名前だから関係ないんだけどね。この作品、冷静に考えると凄い内容だよね(^^;無茶な部分(遺憾)も結構あったのですがインパクトは強い!
2016/10/20
harass
ほぼ内容を知らないまま借りる。分類不可なフィクション。年老いて世界的に有名になった画家の生涯を小説風やルポ風に構成する。実験的要素が強いがそこまで難解ではない。ラスト近くである題材がでてきて、これ書いて大丈夫かと思ったが、弁解のようなあとがきに冷める。んなあとがき無しにするか、もともとそんな題材使うなよと思うが、裏の戦後史に欠かせないものであるし… アイデアと意図は分かるのだが、抜群に面白いかというと疑問。あえて言うなら珍品。まあこの著者は少し追うつもりだが。
2019/04/30
カープ青森
初読みの作家さん。タイトルからほのぼの系の内容を想像していただけに、恐ろしい程のトンデモ本でした。悪人と殺人の底なし沼。落し穴に落ちたら、その底が抜け更に落し穴に落ち続ける感じかな。途中でホテルニュージャパンやオウム真理教の人物が小者扱いで登場したりなど、タランティーノ映画の様な常軌を逸した突き抜けた小説です。
2021/07/29
kishikan
なんて言ったら良いんだろう・・・・。ミステリのような謎めいたところもあり、バイオレンスもあり、歴史の問題を指摘している部分もあり、非常に深い内容の小説ですね。それに、構成もフラッシュバックを用い、ルポや記事・独白など、様々な語り口と多彩だ。凝り過ぎとも思われてしまうが、「民宿雪国」の名前の由来や物語の主人公である国民的画家「丹生雄武郎」の素性を読み進めるにつれ明らかにしているなど、非常に質が高く練られた小説だったと思う。「さらば雑司が谷」は、未読なので、是非読んでみたい。
2011/03/01
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