ぼくらは夜にしか会わなかった
ぼくらは夜にしか会わなかった / 感想・レビュー
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
「白い家 スワンボートのシンドバッド ぼくらは夜にしか会わなかった 花の呟き 夜の燕 いまひとたび、あの微笑に」の全6話。表面的には非常に穏やかな凪いだ水面のようなのに、その奥底には激しく強い感情が渦巻いている様が思い浮かびます。読み終えた後はシンと静まった気持ちになるのに、それでいて激しく渦巻く感情に翻弄されそうになりました。ただ意図的にかもしれませんが、同じような設定の話ばかりが集まっていたので、全体的なイメージがどれも一緒になってしまって、飛びぬけて良かったと思える話がなかったのが残念でした。★★★
2012/06/11
きーしゃん
初めて読む作家さんだった。短編集で次の物語へ進むたびに、内容に深さが増してゆく印象を受けた。なので、尻上がりに面白いなーとなっていった。そんな最中に、ふと思い浮かんだのは、「作者は本当の悲しみを知っている。」と言う言葉であった。ブログのタイトルに引用させて頂いた言葉も好きだし、「花の呟き」の「ある種のひとたちは、生涯にたった一度だけ恋をするように定められて生まれてくる」も共感する言葉だった。わくわくするような恋愛小説では決してないけれど、通じるものがある人には、こころに静かな余韻を残す本ではないだろうか。
2020/11/01
ichi
【図書館本】恋愛小説に分類されるのだろう。と思いますが、生きづらい男女の何とも切ない恋愛を描いた短編集。太く短く情熱的な恋だけど、切なかった。
2016/09/09
ケイ
10代後半か30歳位までの男女の恋愛。不器用で、かなしいものが多い。死が隣に寄り添うようにある感じ。この作者の初期の作品は、かなり読んだのだが、短編だからか、作風が少し変わったのか、全然入り込めなかった。
2013/12/07
森の三時
表題作を含め6編とも湖の底に佇む真水のように澄んだ恋愛の物語でした。美しく、儚く、危うげな繊細さで包まれていました。あの人と同じ布からできているように何もかもが一緒に感じること、この人以外もう愛せる人は現れない、この人が自分のためだけに作られたと思えること、見つめているだけで幸せに感じること、その人のためだけに生きたいと願うこと、そうしたことが永遠のように思える瞬間。一人残され、湖面から顔を出したら想い出だけに生きる脱け殻になってしまいそうです。美しい文章に浸りたいなら夜に静かな所で読む方があっています。
2016/04/10
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