南極風
南極風 / 感想・レビュー
キムチ
時期的にマッチングし 臨場溢れる読書を楽しめた。2つの軸がゆっくり螺旋を描くように展開・・司法と遭難。 アスパイアリングでの遭難事故、企画したツァー会社のガイドが死亡事故への責任を問われる。管理者が死亡した事でガイド森尾の保険金詐欺の疑いが。告発したのは遥かバルセロナの元法曹界重鎮。管理者の元妻美佐子、追い詰める湯沢、擁護に手をこまねく岸田、そして生還者の支援。 時間が行きつ戻りつする中で、冗漫とも感じるほどの綿密な描写が続く。現代の色々な問題が余りにも詰め込まれボリュームとも相まって満腹の読後感。
2014/02/26
ntahima
【市図書6】タイトルを見た時は南極モノかと思ったが、実はニュージーランドが舞台の山岳・法廷ミステリ。かの地は私が初めて訪れた外国であり、友と二人テントを担いでひと月余りさすらった地だけに期待に胸ふくらむ。登山場面と取り調べ場面がカットバック方式で挿入される。読後感はビミョウ。ミステリの部分は結論が直ぐに見えてしまう。謎らしい謎もないというか、どんでん返しがないのが最大の謎。舞台もニュージーランドである必然性が感じられない。期待している作家だが『還るべき場所』の出来が良過ぎて期待値が爆上がり!次は『分水嶺』
2015/08/05
ゆみねこ
ニュージーランドで山岳ガイドを務める森尾は、天候急変と落石と言う不運に見舞われながらも、仲間と顧客の半数を失い半数を救った。自らも危険を冒しながら助けた命があったにもかかわらず、殺人罪で告発され、保険金詐欺の疑いもかけられる。山岳救助のシーンはいつもながら息詰まる筆力で面白かったが、今回は罠にはめた人物が特定できていたし、わざわざそこを絡めなくても良かったかな?
2013/01/27
まるぷー
ニュージーランド.アスパイアリングでの山岳遭難事故。ツアー会社の社長を含む5名が死亡する。副社長の森尾が保険金詐欺と未必の故意の殺人容疑で逮捕、起訴される。検察による取り調べと森尾の山での行動が交互に語られる。自分の命を犠牲にする覚悟でツアー客を守るための勇気ある行動に感銘。一方、検察の組織としての不利な証拠の隠蔽が明らかになり、ツアーの生還者のひろみなどの証言が控訴審を有利に導く。山岳小説と法廷ミステリーを融合した作品に読み応えを感じた。サザンアルプスに吹く南極風が森尾とひろみの明るい未来を感じた。
2024/04/09
あずき
主人公の森尾は山岳ガイドをしている。ニュージーランドのアスパイアリングでのツアー登山中に、落石とまさかの天候悪化で遭難事故が起こりツアー客とガイドが遭難死。その後森尾は保険金を狙う未必の故意で殺人罪に問われる。迫力の登攀シーンと、探り合いの取り調べが交互に描かれ興奮が休む間もなく読み進む。ニュージーランドの山の美しさが伝わり、人の強さを知る。やっぱり笹本さんの小説は面白い。
2018/03/10
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