ザンジバル・ゴースト・ストーリーズ
ザンジバル・ゴースト・ストーリーズ / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
アフリカ大陸のザンジバルでの幽霊譚。ゴーストというが、ザンジバルでは異質なものであると同時に接触者が礼節さえ、守っていれば害をなさないものもある。そして彼らが出る時に人々はそれを悪いことが起きる前触れと受け取るのに畏怖を感じます。そして幽霊は女性に不埒で無礼で不実な事を仕出かそうとした男へ肝が冷える目に遭わせるのが多いのが個人的にスッキリします(笑)個人的に「見知らぬ乗客」が怖く、「扉を通り抜ける女」でのその家の家族の霊への接し方に背筋が伸びます。
2018/08/21
HANA
アフリカ、ザンジバルにおける民間伝承。ゴーストの国にあるマンゴー園などどことなく素朴な感じのする話のある一方で、人肉市場等昨今の都市伝説にありそうな話もあり、収録されているものは非常に幅広い。魔術と現代が混じりあった不思議な魅力。読みながら何となく、行った事もないアフリカの風土が目に浮かぶようであった。イラストも内容と実に良くマッチしている。ただ引っかかるのは帯の推薦文。これは全て実際にあった聞き書き?それとも巧妙に作られたフェイク?本の中では一切その事に触れられていないが、本当のところはどうなんだろう。
2013/05/15
みや
読書会紹介本。アフリカ東岸ザンジバル諸島に伝承される34編の怪異譚集。読書会で聞くまで名前すら知らず、今も世界遺産の知識しか無い、私にとって未知の国。そこに伝わる物語は日本の古くからの民間伝承と繋がる部分も多く、妖しい闇に懐かしさすら感じた。訳者が意識したと語る「遠野物語」と同様に、その土地の文化や人々の精神性を窺えるのも楽しい。現代の都市伝説に通ずるものもあり、荒唐無稽と薄気味悪さが共存する。悪魔や精霊を心から信じることは決して蒙昧ではなく、むしろ私たちが見られなくなったモノと出会える感受性が輝かしい。
2019/08/20
三柴ゆよし
ザンジバル諸島の実話怪談をまとめた原著を、訳者の飯沢耕太郎が翻訳・翻案したもので、本来の作者のまえがきを読むと、民俗学や人類学の研究書というよりは一種の啓蒙書らしいのだが、ザンジバル版「遠野物語」の肩書きはなるほど伊達じゃない、なかなか興味深い読み物だった。おもしろいのはイスラム圏なのにというか、だからと言おうか、ナンパしに出かけた男が痛い目を見る話の比率が妙に高く、そうしてオチではお化けに遭遇した男たちが軒並み女漁りをやめていること。都市化されているとはいえ、いまだに教訓としての説話の色が濃厚なのだ。
2013/03/27
キキハル
舞台は東アフリカのザンバジル諸島。土地と人々に伝わる土俗的な伝承を聞き取り書き留めた、謂わばザンジバル版の『遠野物語』。呪術や迷信、伝説、単なる噂話も含んだ本書には様々なゴーストが登場します。礼儀作法にうるさいゴーストや洗濯好きゴースト、淫乱ゴースト。悪事を行わないゴーストもいますが、どんな剽軽ゴーストでもあまり出会いたくないなあ。特にナンパ男には厳しいですよ。モノクロのイラストが多数あるのも良い雰囲気を醸し出しています。街の屋台をキオスクといったり、フレディ・マーキュリーの生まれ故郷だというトリビアも!
2013/06/09
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