六花落々
六花落々 / 感想・レビュー
紫 綺
江戸幕府の世に、蘭学を通して世界に広い視野を持ち、古河藩の名家老として政治を操った鷹見泉石。作者が描きたかったのはこの人物だったようだが、主人公は下士で藩主の御学問相手、尚七。史実の筆記よりもこの尚七の目を通した物語の方が面白かったし、ふくらませて欲しかった。
2015/04/07
ゆみねこ
江戸末期、雪が作る美しい花に魅せられた一人の男。「何故なに尚七」と呼ばれた軽輩小松尚七が、その才ゆえに主君の御学問相手に抜擢される。主君土井利位・家老鷹見忠常(泉石)との三人の描き方が素晴らしかった。大黒屋光大夫・シーボルト事件・大塩平八郎の乱、越後の鈴木牧之との関わりなど興味深く読了出来ました。歴史ものや時代ものが苦手な人でもサラリと読めます。お勧め~。
2015/02/08
けい
西条奈加さんの実在の人物をモデルとした小説は初読み。幕末より50年位前の時代を舞台として、雪の形を顕微鏡で観察し、その形写し取った作品『雪華図説』を巡る物語。3人の学問バカ(いい意味です)を中心に主人公である「尚七」はそのままに、後の二人は生まれ持った身分と才能から、幕府という組織に属し、魑魅魍魎が跋扈する政の世界へ。本当はこう生きたかったでも、時代と周りに許されず・・・。そんな、男達の複雑な思いや憧れが綴られます。歴史上の有名人物も多数登場し、物語の背景を形作ります。様々な人々の複雑な思いが、→
2015/04/04
やま
雪の結晶の美しさに…純粋な尚七は…。文化十年(1813)。下総古河藩八万石土井家の下士・小松尚七は、藩の重臣で先手物頭の鷹見十郎左衛門忠常にその探究心を認められ、世継ぎ土井利位の御学問相手に抜擢される。のちに利位は、幕府の老中首座。雪の結晶の研究を行い「雪の殿様」の異名で知られる。「六花邂逅」尚七が一心に六弁の花の形をした雪の花を探していると。鷹見は、尚七が「何故なに尚七」と呼ばれている事を思い出し、他人に何と言われようと、考える事をやめようとしない姿に感銘を受ける。🌿続く→
2022/07/18
はる
実在の人物を扱っているせいか物語としては弱い気がします。主従を超えた友情物語なのか、歴史物語なのか、ややはっきりしない印象。ただ著名な人物がごろごろ出てくるのが楽しいし、皆、気のいい好人物として描かれているのがいい。
2015/02/09
感想・レビューをもっと見る