あかり野牧場
あかり野牧場 / 感想・レビュー
starbro
本城 雅人は、新作中心に読んでいる作家です。先日読んだ『ザ・ロイヤルファミリー』に続いて、サラブレッド小説を読みました。個人的な評価としては、山本周五郎賞の『ザ・ロイヤルファミリー』よりも本書を推します。オススメは、第4話『最後の連絡』&第6話『町のあかり』です。
2020/10/22
いつでも母さん
ダービー当日の東京競馬場、摂男の気持ちに寄り添って胸がドキドキして読了した。G1馬、特にダービー馬を誕生させるのは特別なのだろう。競走馬を育てる事は本当に沢山の人や手塩に掛ける熱い思いがあるのだと再確認させてもらった。牧場の大小はあっても育てる思いは同じだろう。本作は北海道の馬産地の小さな家族経営の牧場主が主人公。家族、競争相手だが馬産地の仲間、騎手、調教師・馬主・・お仕事小説でもある。大きな地震があって停電になった馬産地。北の大地に灯りがともればいいと名付けられた「キタノアカリ」疾走が爽やかだった。
2020/10/12
ちょろこ
爽やかな風を感じる一冊。日高の家族経営の牧場が送り出すレース馬の物語。何度も鼻の奥がツンとした。育てた一頭の馬を送りだすその過程、レースまでの裏には携わってきた人達の様々な想いが重なり合う。馬を愛するからこその衝突さえも…。そんないくつもの想いを背負って、キタノアカリが駆け抜ける。騎手が勝負を計算する一瞬の判断、皆の想いを手綱や鞭で伝えるかのシーンは涙で文字が滲んだ。馬への愛はもちろん、それを知り応えるかのような馬の気持ちもほのかに伝わってくるのがまた良い。最後はほんのり涙滲み、爽やかな風を感じる読後感。
2020/11/12
ゆみねこ
北海道日高地方の家族経営の❮あかり野牧場❯で生まれた1頭の馬「キタノアカリ」。中央競馬のデビュー戦を鮮やかな勝利で飾り、いよいよダービーへ。夢舞台に挑む零細牧場の家族・馬産地の仲間たち・崖っぷちの騎手。清々しい読書を楽しめる1冊、お薦めです。
2020/10/04
タイ子
<サラブレッドのふるさと>と呼ばれる北海道の日高地方。大牧場もあれば家族経営で頑張っている牧場もある。山奥の牧場に明かりが灯ればと「あかり野牧場」と名付けた牧場からキタノアカリという名馬がデビュー後連勝、その後アカリの出走で一喜一憂する牧場主、調教師、崖っぷちの騎手。それぞれの人間模様が馬と共に描かれていく。牧場主の息子たちの成長物語もありながら零細企業の厳しさを目の当たりにする。騎手の母と妻との嫁姑の話に涙がほろり。終盤、アカリのダービーのシーンは手に汗握る迫力。一頭の馬に馳せる夢は人々の心を熱くする。
2021/04/06
感想・レビューをもっと見る